♯77 ピアノを辞めたいと思ったあの日と、今の私|音楽を続けて気づいたこと

ピアノとわたし

ピアノを続けている人なら、一度は「もうやめたい」と思ったことがあるかもしれません。
実は、私も何度もそう感じた一人です。

では、どうして私は今でもピアノを弾き続けているのか。

4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、

ピアノを続ける中で感じた葛藤と、その先に見つけた大切な気づきについてお話しします。

ピアノを辞めたいと思ったきっかけ

二十数年間ピアノを弾いてきて、ピアノを辞めようかと考えたことが三回程あります。

私の場合は辞めたいというより、「辞めた方がいいんじゃないか」と思った経験ですが、
【音大受験で失敗したとき】と【大学三年次の周りが就活を始めたタイミング】、【大学院を出てから】です。

それぞれのタイミングで私が思ったことは、以下でした。

【音大受験で失敗したとき】
『私よりピアノが上手な人なんてたくさんいるのに、私が弾く意味なんてあるんだろうか。
将来のこと考えて、ピアノなんてやっている場合ではないのではないか。絶望。』

【大学三年次の周りが就活を始めタイミング】
『周りは就活を始めた。私も就活すべきなんだろうか。ピアノとは関係のない仕事をして、私は後悔しないだろうか。私が進みたいのは安定の道か、いばらの道か。』

【大学院を出てから】
『歳も重ねてきているのに、一向に結果を出せない。先生からレッスンで指摘されることが自分には届かない高いレベルのものに思えて、できる気がしない。』

こんなにもマイナスに考えていた私ですが、今では前向きにピアノと向き合っています。

それでも続けようと思えた理由

私がそれでもピアノを辞めなかった理由は、どのタイミングをとっても
「ピアノを弾くのが好き。もっと上手になりたい。」という気持ちがとても強かったからです。

逆境を乗り越えて、さらにその気持ちが強くなったというのもあります。

【音大受験で失敗したとき】
『私よりピアノが上手な人はたくさんいるけれど、私はやっぱりピアノを弾くのが好き。人前で弾いて拍手をもらいたい。』

当時、私は泣きながらこのことを母に訴えました。第一志望の大学ではありませんでしたが、一年浪人して音楽大学に進みました。

【大学三年次の周りが就活を始めたタイミング】
『私が欲しいのは、安定の道なのか?そうではない。たとえいばらの道になったとしても、一度きりの人生、本当にやりたいことにエネルギーを注ぎたい。私が目指したいものは、もっとピアノが上手になってたくさんの人に聴いてもらうこと。』

結局、私は就活を一切しませんでした。その後大学院に進み、まわりの人の力を借りていろいろな仕事をしています。

【大学院を出てから】
『できないとあきらめてしまったら、その先の成長はありえない。こんなところで落ち込んで立ち止まっている場合ではない。私の「ピアノがもっと上手になりたい」という気持ちは、その程度であきらめられるものではない。』

いまだに悩むこともありますが、絶対にくらいつくつもりで試行錯誤しています。

続けてきて気づいたこと

こうして過去を振り返ると、やめなくてよかったと心から思えます。
ピアノの演奏はまだまだだけれど、少しずつ見える世界が変わってきている気がします。

・前には気がつけなかった「作曲家の意図」が少し見えるようになったり
・以前だったら弾き飛ばしていたところもちょっと立ち止まって考えるようになったり
・人のために演奏して感謝されたり

ほんのちょっとのことかもしれませんが、ピアノを続けなければ見えなかった世界が広がっていました。
これから先はどんな景色が待ち受けているだろうかと、わくわくしてなりません。

今、ピアノとどう向き合っているか

大学院を出て、ピアノを教えることも増えました。
生徒さんに教えているようで自分に言い聞かせていることも多々あります。
ともに勉強させていただいていると感じています。

大学でお世話になった先生のレッスンを、今でも定期的に受けています
まだまだ全然だめだと感じることばかりですが、少しでも先生の技を盗もうと思い、奮闘中です。
卒業後も真摯に向き合ってくださる先生にとても感謝しています。

演奏活動の方は、演奏を期間内できちんと仕上げること、知り合いではないお客さんにも聴きに来ていただくことに難しさを感じています
これらも経験と共に日々勉強と思っています。

挑戦しつづける限り、きっとピアノを辞めたいと思うことがまたあると思いますが、逃げずに自分の気持ちに素直に向き合っていきたいです。

まとめ|ピアノを続けることの意味

ピアノを辞めたいと思ったことがあっても、それは「自分が本気で向き合ってきた証」なのかもしれません。
うまくいかない時ほど、自分の音や気持ちに正直になれる瞬間があります。

振り返ると、あのときやめなかったからこそ、今の自分があります。
失敗も迷いも、音の一部となって積み重なり、少しずつ「自分の音楽」になっていくのだと思います。

ピアノを続けることは、結果を追うことではなく、
その過程の中で「自分と向き合い続けること」なのだと、今は感じています。

これからも悩みながら、迷いながら、
それでも音楽の中に自分の答えを見つけていきたい。
そんな思いで、今日もピアノに向かっています。


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