ソナタ形式をやさしく解説|ソナチネとの違いやロマン派ソナタも紹介
ピアノを習っていると、「ソナタ」や「ソナチネ」という言葉をよく見かけます。
でも「ソナタ形式」と聞くと、難しそうでとっつきにくい…と感じる方も多いのではないでしょうか?
実はソナタ形式は、クラシック音楽における「お話の型」。
結論:ソナタは、音楽の流れがはっきりしていて理解しやすい「お話の型」です。
ソナチネはソナタ形式を学ぶための入門編。
ロマン派のソナタになると、形式よりも感情や自由な表現が強まり、より個性的な世界が広がります。
4歳からピアノを始めて音高・音大と進み、約30人の生徒にピアノを教えながら現役で演奏活動を続ける私が、詳しく解説していきます。
「ソナタ形式」を知る(ソナチネ・ロマン派のソナタとの違い)
3つの部分でできている(提示部・展開部・再現部)
ソナタ形式とは、クラシック音楽でよく使われる曲の「型(構成)」のことです。
大きく分けると、次の3つの部分からできています。
- 提示部:曲の最初に、2つのテーマ(主題)が登場します。1つ目は元気なテーマ、2つ目はちょっと雰囲気の違うテーマ、というように対比があるのが特徴です。
- 展開部:登場したテーマが変化したり、転調したりして物語が広がります。どのように展開するか、作曲家の腕の見せ所でもあります。
- 再現部:最初のテーマが戻ってきて、安心感を与えながら曲をまとめます。
まるで「登場人物が出てくる(提示部)→ 冒険する (展開部)→ 最後に戻ってくる(再現部)」というお話のような流れです。
ソナチネとソナタの違い
「ソナチネ」は小さなソナタ
ピアノのレッスンで「ソナチネ」というものに出会ったことはありますか?
まだ弾いたことのない方も、なんとなく耳にしたことがある単語かもしれません。
「ソナチネ」は名前が似ている通り、「ソナタ」の仲間です。
正確には、ソナタ形式を短くシンプルにした曲のことを表します。
- ソナタ:長くて内容も深い。大人向けの物語。
- ソナチネ:短くてわかりやすい。子どもや初心者でも弾けるように工夫されている。
モーツァルトやクレメンティの「ソナチネ」は、ピアノ学習者にとってのソナタに入る前の入門書のような存在として弾かれています。
ベートーヴェンまでのソナタとロマン派のソナタとの違い
ベートヴェンは、ソナタ形式というものを確固たるものにした作曲家です。
ベートヴェン以前にも「ソナタ」は存在しています。
そして、ベートヴェン以後の作曲家たちにもソナタ形式は引き継がれました。
ソナタ形式は時代とともに発展してきました。
ベートーヴェンまでのソナタは「形」がしっかり
ソナタ形式は、ベートーヴェン以前とベートーヴェン以後で大きく性質が異なります。
ベートーヴェンまでのソナタは、先ほど説明した「提示部・展開部・再現部」の構成がしっかりしており、型に忠実に作られています。
※ベートーヴェンの後期の方のソナタは、型から外れ始めているので一概には言い切れませんが…
ロマン派のソナタ(ショパンやシューマンなど)
ロマン派の作曲家たち(主にショパンやシューマン)は、形式にとらわれすぎず感情表現をすることを大切にしました。
ソナタ形式の流れは使われつつも、旋律の美しさや詩的な雰囲気が特徴的です。
使っている形式は同じでも、ベートーヴェンたち古典派の作曲家とロマン派の作曲家たちの作品は、曲の性質がまったく異なります。
例:ショパンのピアノソナタ第2番(葬送行進曲付き)は、ソナタ形式でありながら非常に個性的かつ自由な音楽です。
ソナタ形式を学ぶメリット
曲をもっと理解できる
「提示部 → 展開部 → 再現部」という流れを理解すると、ただ音を覚えて演奏するより説得力が出てきます。
また、ソナタ形式には主題というテーマが初めに2つ出てきます。この主題を意識することで、曲全体にそれがどう及んでいるのかを理解し、演奏することができます。
音楽を「物語」として楽しめる
ソナタ形式を知ると、音楽を「お話」として味わえるようになります。弾くだけでなく聴く楽しみも広がります。
どう始まって、どう展開して、どう終わるのか。
一つの作品を通して、一つのドラマが感じられるようになります。
型を知っておくと、曲によってどう異なるのかが分かって面白い
「ソナタ形式」という作曲のもとの形を知っておくことで、曲や作曲家によってどのように異なるのか、どのような工夫がされているのかを楽しく考察できるようになります。
それはまるで宝さがしのようで、楽しい発見の連続です。
同じ型でもこうも違うのかと、感動を覚えることは間違いないでしょう。
まとめ|ソナタ形式は音楽の「お話の型」
今日お話しした内容をざっくりまとめると、以下です。
- ソナタ形式は「提示部 → 展開部 → 再現部」という流れを持つ、音楽の基本的な「お話の型」。
- ソナチネはソナタの入門編で、初心者や子どもでもわかりやすく学べます。
- ロマン派のソナタでは、型をベースにしながらもより感情的で自由な表現がされています。
- ソナタ形式を学ぶことでより説得力のある演奏に近づき、作曲家ごとの変化や工夫を楽しめるようになります。
今回は初心者向けに書いたので、ソナタ形式による調の関係には触れていません。
また機会があれば、そちらについても解説したいと思います。
今回の記事が、少しでも皆さんの学習の手助けとなればうれしいです。
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