♯38 譜読みで差がつく!ピアノ中級者が意識すべきポイントとNG例

ピアノ教育

譜読みの段階で差がつく!仕上がりを変える考え方

譜読みと聞くと、「音とリズムを間違えずに読むこと」と思いがちです。

ですが、譜読みの段階でどれだけ曲を理解できるかがその後の練習や表現力に大きく影響します。

この記事を読むメリット

ピアノ中級者が譜読みのときに注意すべきポイントがわかり、演奏の仕上がりが良くなります。

4歳からピアノを始めて音高・音大と進み、約30人の生徒にピアノを教えながら現役で演奏活動を続ける私が、いくつか曲を例に挙げながら、指番号から曲の構成、表現の方向性まで、譜読みの質を高めるコツをまとめました。


ピアノの譜読みで大切な6つのポイント

指番号を確認して効率よく弾ける準備をする

ピアノを弾くのにとても大切な指番号。

適当に一番距離が近い指で弾いたりしていませんか?

楽譜に書いてある指番号をすべて守る必要はありませんが、意図のない指番号指示の無視は、それだけで演奏の質を下げる可能性があります。

かつ指番号を後回しにすると、途中で弾きにくくなって練習をやり直す羽目になることも多いです。

  • 無理のない手のポジションか
  • 次のフレーズに移りやすいか
  • スケールやアルペジオなどの動きに合った指使いか

譜読み段階で、弾きやすさと流れを考えた指番号をチェックしましょう。

各指にはそれぞれ特徴があるので(小指は弱いとか)、そちらを意識した指使いも必要です。


曲の雰囲気・イメージをつかむ

同じ和音でも「軽やか」か「重厚」かで全く違う音楽になります。

例えば、ショパン《ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」》の冒頭。
「華やかな舞踏会」というイメージを持つかどうかで、音色やリズム感が変わります。

〈例2〉ショパン《ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」》の冒頭

譜読みの段階から、

  • 曲名(もし付いていれば)
  • テンポや強弱の指示
  • 作曲家が生きた時代の雰囲気や作品の成立背景
  • 他の人の録音
  • 和音の種類
  • 調性

を参考に、音楽の色合いをイメージしましょう。


構成を捉える|部分ではなく全体を見渡す

譜読みの大きなポイントは、曲の「型」を早めに把握することです。

ソナタ形式なら「提示部 → 展開部 → 再現部」、
三部形式なら「A → B → A」といったように、全体の流れを頭に入れておくことが大切です。

「全体でどう進んでいくか」を知ることで細部の練習も楽になり、音楽がどこに向かって進んでいるのかを明確にすることができます。


調性の変化を見逃さない

転調は曲のドラマを生む大切な要素です。

曲の表情が変わる大きなポイントでもあり、盛り上がりや新しい展開を生み出します。

譜読みでは、

  • どの調からどの調へ動いているか
  • その転調が曲の雰囲気にどう影響しているか

を意識して読みましょう。


フレーズを単位でとらえる

ショパン《ノクターン 第2番》を例にすると、右手の旋律はまさに「歌」。
一音ずつでなく、歌のフレーズのまとまりとして読むと自然に流れがつかめます。

〈例5〉ショパン《ノクターン 第2番》

  • 息継ぎする場所(呼吸点)はどこか
  • フレーズの山はどこにあるか

を見ながら、譜読みを「音符の羅列」ではなく「ひとつのまとまった音楽」として捉えるといいでしょう。


音楽がどこに向かっているのかを意識する

音楽には必ず「方向性」があります。

譜読みの時点で、

  • クレッシェンドやデクレッシェンドの行き先
  • 和声進行がどこに落ち着くのか
  • どこがピークで、どこが解決なのか

を意識することで、音楽の流れが自然になります。


よくあるNG譜読み例

指番号を無視して「とりあえず弾く」

まったく楽譜に書いてある指番号を確認せず、考えもなしになんとなく指を動かすのは最悪です。

もっともやってはいけない行為としてあげてもいいくらいです。

それは楽譜に書いてあることを守らないからではなく、思考が停止して、自分で弾きづらくして、音楽的表現も損ねているからです。

指番号を考え決めることは、音符の意味を考え表現することと同じくらい大切なことです。

おろそかにしないようにしましょう。

音符しか追わず、フレーズや構成を無視する

「まだ譜読みの段階だから」と気をぬいてはいけません。

譜読みの段階だからこそ、フレーズ感や構成を意識する必要があると私は思います。

フレーズや構成を考えることを後回しにすると、曲の雰囲気や特徴を捉えずらくなり、後でより苦労することになります。

何事も、初めからイメージをもって取り組むことが大切です。

強弱記号やテンポ指示を見落とす

これもよくやりがちです。

音符を指で押さえるという動作に意識がいきすぎて、細かい指示を見逃します。

いったん手を止めて、楽譜をじっくり見ましょう。

強弱やテンポ指示だけではない、思いもよらない意外な発見があるはずです。


まとめ|譜読みは音楽の「設計図」を描くこと

譜読みはただの音読みではなく、音楽の設計図を描く作業です。

  • 指番号の確認
  • 曲の雰囲気・イメージ
  • 構成の把握
  • 調性の変化
  • フレーズのまとまり
  • 音楽の方向性

これらを譜読みから意識することで演奏の質は高まり、かつ効率的に練習を進めることができます。

譜読みを×退屈な作業と捉えるのではなく、音楽の宝探しと考えて楽しみながら取り組んでみましょう。

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