
いよいよ明日はピアノ発表会。
数ヶ月前から準備を始めた子、短期間で集中して仕上げた子。
準備の期間や歩んできた道のりは一人ひとり違いますが、明日は全員が「一つのステージ」という目的地に集います。
今、生徒の皆さんはどんな気持ちで過ごしているでしょうか。
そして、ご家族の皆さんはどんな想いでその背中を見守っていらっしゃるでしょうか。
実は、指導者である私も、皆さんと同じように――
あるいはそれ以上に、ドキドキしながらこの夜を過ごしています。
今回は、発表会という特別な一日を前に、私がいつも胸に抱いている想いをつづりたいと思います。
筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。
舞台袖の「もう一人の演奏者」として

発表会当日、生徒さんが舞台へ向かう背中を見送るとき、私の心臓もまた、皆さんと同期するように激しく鼓動します。
「一緒に何度も練習したあのフレーズ、本番も指が動くかな?」
「すごく心配性な子だけど、最後まで自分を信じて弾けるかな?」
そんな不安が頭をよぎることもあります。
しかし、それは決して「失敗したらどうしよう」というマイナスな感情ではありません。
皆さんがこれまでどれほどの時間をピアノに捧げ、
どれほどの葛藤を乗り越えてきたかを知っているからこそ、その努力が最高のかたちで結実してほしいと願う、祈りのような緊張感なのです。
生徒さん一人ひとりに、今日までの「ドラマ」があります。
部活や勉強との両立に悩んだ日々、なかなか合格が出なくて悔し涙を流したレッスン。
それらすべてを知る私にとって、皆さんの演奏は単なる音の羅列ではなく、かけがえのない成長の記録そのものなのです。
広い舞台に立つとき、最後に頼れるのは「自分」だけ

ピアノの発表会という場所は、少し残酷で、そして何よりも気高い場所です。
いつも隣でアドバイスをくれる先生も、家で温かく見守ってくれるお父さんやお母さんも、あの広い舞台の上にまでは一緒に行くことができません。
スポットライトを浴びたとき、最後に頼れるのは、これまで積み重ねてきた自分自身の練習と、目の前にあるピアノだけです。
しかし、だからこそ、たった一人で鍵盤に向き合う皆さんの姿は、何ものにも代えがたいほど美しいのだと私は思います。
自分の音を信じ、ピアノを信じて、一音一音を紡ぎ出す。
そのひたむきな姿は、聴いている人の心に必ず届きます。
たとえ途中で指がもつれても、音が一つ抜けてしまっても、その瞬間にあなたが「音楽を届けよう」としている事実は揺るぎません。
その勇気こそが、発表会という経験の真の価値なのです。
「悔しさ」は、本気で向き合った人だけが手にできる宝物

もし、明日思うような演奏ができなくて、ミスをして悔しそうにしている子がいたら、私はこう伝えたいと思っています。
「その悔しさは、絶対に次の演奏につながるよ。悔しいと思えるほど、あなたは本気で頑張ったんだ。その気持ちこそが、何よりも大切なんだよ。」
私は今まで多くの生徒さんと出会ってきましたが、「まあ、自分なんてこんなもんだよね」と冷めた顔で言う人には一人も会ったことがありません。
みんな、自分のベストを尽くそうとしている。ベストが出せなかったら、心から悔しがっている。その純粋な情熱を、私は心から尊敬しています。
今の時代、スマートフォン一つで何でも手に入り、効率が重視される世の中です。
そんな中で、一つの曲、一つの楽器にこれほどまでの時間をかけ、心を砕いて向き合える時間は、決して多くはありません。
この濃密な時間は、皆さんの人生において大きな財産になるはずです。
音楽を通した「対話」を楽しんでほしい

明日のステージでは、どうか「間違えないこと」を目標にしないでください。
それよりも、会場にいるお客さんとの「対話」を楽しんでほしいのです。
「このメロディー、素敵でしょう?」
「ここはこんなに楽しい気持ちなんだよ」
そんな風に、あなたの心の中にある音楽を、聴いてくれる人に手渡すような気持ちで弾いてみてください。
のびのびと、めいいっぱい、その瞬間を楽しんでほしい。それが、指導者である私の心からの願いです。
そして、明日は私も皆さんと一緒にステージに立ち、講師演奏を披露します。
私も一人の演奏家として、皆さんに、そしてお客さんに伝えたい音楽があります。
私の演奏が、少しでも皆さんの力になることを願いながら、精一杯のメッセージを届けたいと思います。
結びに:明日はきっと、良き一日となりますように

発表会は、一つの「終わり」であると同時に、新しい自分に出会うための「始まり」でもあります。
生徒の皆さん、明日は心ゆくまで音楽を楽しんでください。
ご家族の皆様、どうぞ温かい拍手で、
彼らの勇気を包み込んであげてください。
皆さんのひたむきな努力が、ホールの響きとなってキラキラと輝く瞬間を、私は一番近くで見守っています。
明日は、みんなにとって良き一日となりますように。
さあ、自信を持って。ステージで会いましょう。
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筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

