
「毎日欠かさずピアノの前に座っている。それなのに、一向に上手くなっている気がしない……。」
そんな行き詰まりを感じていませんか?
実は、ピアノの上達を妨げているのは、才能の欠如でも努力不足でもありません。
日々の練習の中に潜む、ほんの少しの「無意識の習慣」が原因であることが多いのです。
せっかくの努力を水の泡にしないためには、まず「練習」という言葉の定義を再確認する必要があります。ただ鍵盤に触れているだけの時間は、厳しいようですが「練習」とは呼びません。
今回は、真面目な人ほど陥りやすい3つのNG習慣と、それを打破して確実にステップアップするための思考法についてお話しします。
筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。
NG習慣1:目的のない「だらだら練習」と時間の誤解

まず、大前提として理解しておきたいのは、「練習とは、目的を持ってそれを達成するために行うもの」だということです。
多くの人がやってしまいがちなのが、ピアノの前に座り、なんとなく楽譜を開き、なんとなく指を動かして「今日も30分弾いたぞ」と満足して終わることです。
しかし、目的のない「だらだら弾き」は、上達という面ではほとんど意味をなしません。
ここで、「時間数」への誤解についても触れておかなければなりません。
私はよく「まずは15分から習慣にしましょう」と言っています。
これは、ピアノを始めたばかりの方や、忙しい日常の中でピアノとの接点を保つためのアドバイスです。
しかし、ある程度曲が進み、難易度が上がってくると、「15分だけでは物理的に練習が追いつかない」という現実がやってきます。
「両手で止まらずに最後まで弾けるようになりたい」という段階においては、15分では脳が温まり、課題に向き合い始めたところで終わってしまいます。
習慣化のフェーズを過ぎ、一歩上のレベルを目指すなら、時間数に縛られるのではなく「ある程度弾けるようになるまで腰を据えて練習する」という、目的達成型の時間の使い方が必要になります。
鍵盤に触れる前に、「今日は何を解決しようとしているのか」を自分に問いかける癖をつけましょう。目的のない練習は、残念ながら何も生み出しません。
NG習慣2:とりあえず最初からの「通し練習」

次に多いNG習慣が、練習のたびに曲の最初から最後まで通して弾いてしまうことです。
もちろん、曲の全体像を把握したり、本番を想定して通したりする練習は必要です。
しかし、まだスラスラ弾けない段階で何度も通して弾くのは、非常に効率が悪いと言わざるを得ません。
なぜなら、「弾けるところは何度も弾き、弾けないところは弾けないまま放置される」からです。
上達の近道は、「弾けない箇所だけを徹底的に抜き出して練習する」ことに尽きます。
指使いに問題があるのか、ポジション移動がうまくいっていないのか。
原因を突き止め、そこだけを集中して繰り返します。
ピアノの上達とは、いわば「脳の回路」を作っていく作業です。
スムーズに動かない部分は、まだ脳の神経がつながっていないだけ。そこが開通するまで、頭と指にじっくりと覚え込ませる「ピンポイント練習」こそが、上達の鍵を握ります。
「今日はこの2小節だけ完璧にする」という小さな成功体験の積み重ねが、結果として曲全体の完成度を最も早く引き上げてくれるのです。
NG習慣3:音を聴かない「自己陶酔練習」

これは、指がよく動き、真面目に練習する人ほど注意が必要な罠です。
指が回るようになると、つい弾くこと自体に一生懸命になり、自分がどんな響きを鳴らしたいのか、なぜそこにその音符や表記があるのかを考えるのを止めてしまいます。
実は、私自身もこのタイプでした。
先生から何度も「熱くなりすぎて、考えて練習できていない!」と叱られたことがあります。
指が動いていると、自分では「弾けている」という感覚に陥りやすく、ついつい自己陶酔してしまいます。
しかし、客観的に聴けば音色が濁っていたり、リズムが崩れていたり、楽譜の意図を無視していたりすることがあります。これは非常に危険な状態です。
両手で弾けるようになってからの練習こそ、「もっと具体的に想像して考える」必要があります。
「この音はどんな色で鳴らしたいのか?」
「なぜここにクレッシェンドがあるのか?」
指を動かす作業から、音を作る作業へ。
自分の音を冷静に聴き、試行錯誤する「深い思考」が伴って初めて、演奏に説得力が生まれます。
真面目にピアノに向き合える人だからこそ、そのエネルギーを「指」だけでなく「耳」と「脳」にも分散させてあげてください。
まとめ:練習の「目的」を常にアップデートしよう

毎日練習を続けているあなたは、間違いなく素晴らしい努力家です。
その努力を100%の結果に結びつけるために、今日から練習のやり方を少しだけアップデートしてみてください。
- 「なんとなく」を捨て、目的と必要な時間を確保する。
- 通し練習を封印し、苦手な箇所をピンポイントで攻略する。
- 指を動かすだけでなく、理想の響きを常に問い続ける。
練習の本来の目的は何か。今の自分には何が必要なのか。
それぞれの段階で立ち止まって考えることができれば、あなたのピアノは必ず、また輝きを取り戻して上達し始めます。
もし、「自分の練習法が合っているか不安」「客観的なアドバイスがほしい」という方は、一人で悩まずにぜひプロの力を頼ってください。
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筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

