♯203 【エッセイ】意志あるところに道は開ける|ピアノと人生を豊かにする「直観」と「人との繋がり」


ピアノの前に座り、最初の一音を出す瞬間。
そこには、その人の「生き方」がすべて現れるような気がします。

私にとってピアノは、単なる楽器ではありません。

それは、自分が大切にしている価値観を再確認し、磨き上げるための場所でもあります。

直観を信じること。
強い意志を持って道を切り拓くこと。
そして、人との繋がりを何よりも大切にすること。

30年近い人生の中で、私を支え、導いてくれたこれらの指針について、私の歩んできた道のりとともに綴ってみたいと思います。

筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

直観は「未来からの合図」

私は、演奏においても日常の行動においても、自分の「直観」を何よりも信じています

二年前のことです。友人から「ウィーンで行われるサマーセミナーに参加する」という話を聞いた瞬間、私の中に稲妻のような確信が走りました。

「今、私もここへ行くべきだ」

理屈ではなく、自分の直観が強く「Go」を出したのです。
その声に従ってすぐに行動に移した結果、信じられないような出会いが待っていました。

ずっと目標にしているコンクールを創設し、審査員を務められている先生のレッスンを、直接受けられることになったのです。

これを「たまたま運が良かっただけ」と言う人もいるかもしれません。
でも、私にはそうは思えないのです。

自分が思い描いていたイメージ、目指していた場所、それらが直観という形をとって、私をその出会いへと引き寄せたのだと確信しています。

直観とは、まだ見ぬ未来の自分からの合図なのかもしれません。

「意志あるところに道は開ける」という確信

直観でチャンスを掴んだ後、それを形にするのは、自分自身の強い意志です。

「意志あるところに道は開ける」

これは私の座右の銘です。強く願って行動すれば、きっといつか叶う。
強い気持ちが未来を切り拓くのだと、私はこれまでの人生を通して実感してきました。

象徴的な出来事があります。

高校時代、私は合唱部の部長を務めていました。当時の目標は「みんなで関東大会に行くこと」。
それまでの2年間、私たちの代は県大会止まりで、関東の壁は厚く高いものでした。

けれど、私は「絶対にみんなで行く」と信じて疑いませんでした

その強い気持ちが周囲にも伝播したのか、私たちの代でついに、悲願だった関東大会進出を果たすことができたのです。

今の私のピアノの道も、まだ道半ばかもしれません。
けれど、あの時と同じように、自分が信じている道は必ず叶うと、心から信じています。

強い気持ちこそが、停滞した現実を動かす唯一の鍵になると知っているからです。

「この人に」と思われるための、誠実さと人との繋がり

音楽を続けていくうえで、私がもっとも大切だと思っていること。
それは「人との繋がり」です。

もし私が、とんでもなくピアノが上手な天才だったなら、何もしなくても仕事が舞い込むかもしれません。ですが、残念ながら私はそうではありません。

だからこそ、一つひとつのご縁を大切にし、目の前のお仕事に精いっぱい誠実に取り組む。

それが私にできる、唯一にして最大のことです。

もちろん、技術を磨く努力や勉強は欠かせません。
でも、「この人に演奏してもらいたい」「この人に教わりたい」と思ってもらうには、技術以上に、私自身が周りの人たちを大切にする必要があります。

中学校の時の恩師が、私に贈ってくれた言葉があります。

「この人になにかしてあげたい、と思ってもらえるような人になりなさい」

この言葉は、今でも私の心の真ん中にあります。

誰かが自分の姿を見てくれていると信じ、感謝を忘れず、相手に敬意を払う。

その誠実な姿勢こそが、新しい縁を呼び、音楽に温度を宿してくれるのだと感じています。

自分一人でできることには限界があるけれど、人との繋がりの中では、想像もしなかった大きな力が生まれるのです。

結びに:誠実さは、音に現れる

ピアノを弾くことは、生きることそのものです。
誤魔化しや慢心は、濁った音となって現れます。逆に、誠実さや情熱は、澄んだ音となって響き渡ります。

私はこれからも、直観を信じて軽やかに行動し、強い意志を持って未来を切り拓き、限界を決めずに歩み続けたい。

そして、恩師の言葉を胸に、人との繋がりを宝物のように大切にしながら、目の前の仕事に誠実に向き合っていきたい。

「意志あるところに道は開ける」

その言葉を信じて、今日も私はピアノの蓋を開けます。
誠実に積み重ねた時間は、いつか必ず、私だけの音楽になると信じています。

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筆者プロフィール:

4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。


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