「絶対音感って、生まれつきじゃないの?」
「ピアノを習えば、音感って自然に身につくのかな?」
子どもに音感をつけてあげたいと考える親御さんの間で、よく話題になるテーマです。
結論から言うと——
絶対音感は、生まれつきだけでなく後天的にも身につけられます。
ただし、「正しい時期に、正しい教育を受けること」が大切です。
4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、
私自身の経験を交えながら、絶対音感がどのように身につくのかをお話しします。
絶対音感は本当に「生まれつき」だけのもの?
確かに、遺伝や先天的な要素が影響する部分もあります。
しかし、多くの研究や音楽教育の現場では「後天的に育てられる能力」であることが分かっています。
特に幼少期(3〜6歳頃)は、音の高さや響きを区別する力が急速に発達する時期。
この時期にどんな音楽的体験を積むかが、絶対音感の有無に大きく関わってきます。
私の体験談:絶対音感を「あとから」身につけた話
私は4歳からピアノを習い始めました。
音高・音大時代は、ソルフェージュのクラスでいつも上位のクラスに在籍。
楽譜にある旋律を正しい音程で歌ったり、ピアノで弾いたメロディーを楽譜に書き写す訓練をしていました。
このような訓練を通して、自然に「正しい音程で歌う」「音を聞き取る」力が身についていったのです。
けれど、私は生まれつき絶対音感を持っていたわけではありません。
有名な天才ピアニストのように、聞こえた音楽をそのままピアノで再現できるような特別な力はありませんでした。
それでも、ある訓練を続けることで、確実に音を聴き分ける力を育てることができたのです。
幼少期に受けた音感トレーニング
私が幼い頃に行っていた訓練は、とてもシンプルでした。
🎵 ピアノの音に合わせて「ドレミ」で歌う。
ただそれだけです。
しかし、この「シンプルな歌の訓練」こそ、音感の土台を育てる一番の近道です。
もちろん、音符の読み書きができるようになるにはソルフェージュなども必要ですが、
絶対音感という観点から見ると、ピアノと声を結びつける練習が非常に効果的です。
生徒さんで感じた「歌う子」と「歌わない子」の違い
実際にピアノを教えるようになってから、この違いを強く実感するようになりました。
歌う習慣がなかった生徒さん
小さい頃あまり歌を歌ってこなかったという生徒さんの場合、
・音符を読むのに時間がかかる
・自分の出している音が正しいかわからない
・単音を聴いても「何の音か」判断できない
といった傾向が見られました。
小さい頃から歌っていた生徒さん
一方、幼い頃からピアノに合わせてドレミで歌っていた生徒さんは、
自然と正しい音程を身につけ、自分の耳で音を確認できるようになっていきます。
「歌うことを楽しんでいるうちに、気づいたら音感が育っていた」
そんな様子を、これまで何度も目にしてきました。
絶対音感を育てたい親御さんへのアドバイス
もしお子さんに音感をつけたいと考えているなら、
「ピアノに合わせてドレミで歌う」 という習慣をつくってあげましょう。
一度や二度では効果は出ませんが、繰り返すうちに確実に耳が育っていきます。
家庭でも、ピアノやキーボードを使って一緒に歌う時間を作るだけで十分です。
また、ピアノの先生によっては「歌う練習」をあまり重視していない方もいます。
その場合は、先生に相談して取り入れてもらうか、ご家庭で楽しく歌う時間を設けることをおすすめします。
まとめ:音感は「育てることができる力」
絶対音感は、決して一部の才能ある人だけのものではありません。
正しい方法で、幼少期に繰り返し「音と声を結びつける経験」を積むことで、誰にでも身につけられる可能性があります。
天才的な耳を持つ必要はありません。
大切なのは、音楽を楽しみながら続けること。
その積み重ねが、確かな音感としてお子さんの中に残っていきます。
ぜひ、そんな小さなプレゼントをお子さんに贈ってあげてください。



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