「何度言ってもピアノの練習を嫌がる」
「ちょっと弾き間違えただけで『ほら、やっぱりできない!』とふてくされてしまう…」
お子さんのそんな姿を見て、どう声をかけてあげればいいのか悩んでいませんか?
「うちの子は根気がないのかな」「ピアノに向いていないのかも」と不安になる親御さんも多いですが、決して能力がないわけでも、頭が悪いわけでもありません。
実は、練習を嫌がるお子さんの多くは、「試行錯誤する前に、自分で『できない』と決めつけてしまっている」状態にあります。
この記事では、ピアノ講師の視点から、練習嫌いなお子さんの心をほぐし、「もうちょっとやってみようかな」と自然に前を向けるようになる親の関わり方や、「小さなできた」を見つけるヒントをお伝えします。
筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。
練習しない子は「能力がない」のではなく「決めつけている」だけ

レッスンをしていて感じるのは、自ら進んで毎日ピアノに向かえるお子さんは、実はほんのひと握りだということです。多くの子どもにとって、練習はエネルギーのいる作業です。
特に「練習したくない」と強く拒否するお子さんを見ていると、ある共通点に気づきます。
それは、たいした失敗もしていないのに、少しつまずいただけで「ほら、やっぱりできないでしょ!」と自分で決めつけてしまうことです。
ピアノは、指を動かし、楽譜を先読みし、リズムを感じるといった「頭の回転」を同時に使う習い事です。
決して理解力や頭が悪いわけではないのに、プライドが高かったり、失敗を極端に怖がったりするお子さんほど、挑戦して傷つく前に「私には無理」と心のシャッターを下ろしてしまいます。
こうなってしまうと、周りが「大丈夫、できるよ!」といくら励ましても、本人の耳にはなかなか届きません。
まずは「できないと決めつけてしまうほど、本人は不安なんだ」という気持ちに寄り添い、頑なになった心を少しずつほぐしてあげることが第一歩です。
最初から「1曲完成」を目指すと挫折してしまう

大人はつい「教本に載っている1曲を最後までスラスラ弾くこと」をひとつのゴールにしてしまいがちです。
しかし、ピアノを始めたばかりのお子さんにとって、曲の最初から最後まで通して弾くのは、果てしなく高い山を登るようなものです。
音を読んで、リズムをとって、両手を合わせて……やることが多すぎて、ゴールが見えないうちに疲れてしまい、「もう嫌だ!」とピアノから遠ざかってしまいます。
だからこそ大切なのは、「1曲弾けなくても全く問題ない」という意識を持つことです。
練習のハードルをうんと下げて、「今日はこの1小節だけ」「今日は右手だけ」という小さな単位に分解してあげることが、挫折を防ぐ最大のポイントです。
心をほぐす!親が見つけて褒めてあげたい4つの「小さなできた」

お子さんが「私にもできた!」と実感するためには、親御さんが「小さなできた」を見つけて言葉にしてあげることが何よりの特効薬になります。
日常の中で見落としがちな、褒めポイントの具体例をご紹介します。
① 楽譜の音符が1つ読めた
「この音、パッと見て『ソ』って読めたね!前より読むのが早くなったね」
② 右手(片手)だけでも弾けた
「両手じゃなくても、右手がとっても綺麗に弾けていたよ」
③ たった1小節でも両手を合わせられた
「曲全部じゃなくていいの。この1小節だけ両手で弾けたの、すごい集中力だったね」
④ ピアノの前に座って楽譜を開けた
「疲れているのに、自分からピアノの椅子に座れたね。それだけで花丸!」
「曲が弾けたかどうか」という結果ではなく、「今チャレンジしたこと」「昨日より進んだこと」という過程にスポットライトを当ててあげてください。
「あ、お母さん(お父さん)はちゃんと見ててくれたんだ」という安心感が、子どもの自己肯定感を育てます。
レッスン内容を一緒に確認し、興味を持って楽しむことが上達のカギ

「親がピアノを弾けないから、家では何もできない」とすべて先生任せにしてしまうのは、少しもったいないことです。
親御さんがピアノの専門的な技術を直接教える必要はありませんが、「できるならレッスンの内容を親御さんも一緒に確認しておくこと」はとても大切です。
レッスンノートを見たり、先生からの宿題やアドバイスを一緒に確かめたりして、「今、どんな曲を練習しているのかな?」「先生からどんなポイントを教わったの?」と確認してみてください。
お子さんが今向き合っている課題を知ることで、家庭での声かけの質がぐっと変わります。
その上で一番大切にしてほしいのは、お子さんがやっていることに興味を持ち、一緒に楽しんであげる姿勢です。
「宿題やったの?」「ここ間違ってるよ」と監視・指摘するのではなく、
「先生とどんなこと練習したの?」「今の音、すごくいいね!」と興味を持って聴く
親御さんが関心を持ち、一緒に曲の世界を楽しんでくれる姿を見ることで、子どもは「自分のピアノを聴いてくれている」「応援してくれている」と感じます。
この家庭での温かいサポートとレッスンの連携があってこそ、子どもは安心してピアノに向かうことができます。
まとめ|小さな自信の積み重ねが「やる気」を育てる

子どもが「私にはできない」と思い込んでしまうのは、決してやる気がないからでも才能がないからでもありません。
ただ、目の前のハードルが高すぎて、一歩を踏み出すのが怖いだけなのです。
- 1曲完璧に弾けなくてもOK。ハードルを細かく刻む
- 「音符が読めた」「片手で弾けた」など、小さなできたを逃さず褒める
- レッスンの内容を一緒に確認し、親御さんも興味を持って楽しむ
「できた!」という小さな成功体験が積み重なると、固まっていた心が少しずつほどけていきます。
「ちょっとやってみたらできた」「お母さん・お父さんが楽しそうに聴いてくれた」という感覚を味わえれば、子どもは自分の力で試行錯誤を始めます。
ぜひ今日から、お子さんのレッスン内容に目を向け、見つけた「小さなできた」をご家庭で一緒に楽しんでみてくださいね。
★演奏会のお知らせ★
2026年10月12日(月祝)彩の国さいたま芸術劇場小ホールにて、チェロ奏者の入江晴美さんとのコンサート、「橋本智菜美ピアノリサイタルシリーズⅡ Duo Recital ーブラームスに寄せてー」を開催いたします。18:00開演(17:30開場)。
チケットお申し込みはこちらまで→chinalustig.bbb16@gmail.com

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筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

