♯85 本番翌日からのピアニストの過ごし方 〜心と体を整えるリセット期間〜

コンサートと本番準備

長い準備期間を経て迎える「ピアノ本番」。
リサイタルや発表会が終わった翌日は、安堵と少しの寂しさが入り混じる特別な一日です。
演奏を終えた直後は、舞台の余韻がまだ体の中に残っていて、頭の中では音が響き続けていることもあるでしょう。

4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、

ピアノの本番翌日をどう過ごすか心と体を整えるためのヒントをお伝えします。


1.まずはしっかり休む。本番まで頑張った自分を労う

私は本番の翌日は、まずしっかり休みます。
本番の日まで集中して練習を重ね、心も体も張りつめてきた自分を、まずは「よく頑張ったね」と労う時間にしたいのです。

焦って次の練習に取りかかるよりも、一度立ち止まり、エネルギーを回復させることが大切。

ピアノを弾くうえで、「休むこと」もピアノ練習の一部だと感じています。

私にとっての休み方は、

  • しっかり寝る
  • しっかり食べる
  • 体と気持ちをほぐす
  • 好きなことをする

といういたってシンプルなもの。

音楽以外の世界に目を向けることで、心のバランスが整い、次にピアノに向かうときの集中力が自然に戻ってきます。


2.録音はすぐ聴く。でも、一度きりでは終わらせない

私は本番が終わった直後、まず一度録音を聴きます。

演奏中の感覚がまだ鮮明なうちに耳で確かめることで、「舞台で感じた音」と「実際に響いていた音の違いを掴むことができるからです。
この最初の視聴は、反省ではなく“体験の整理”として行います。

そして少し時間をおいてから、もう一度録音を聴き直します。
数日経つと、不思議なほど聴こえ方が変わっていることに気づきます。

冷静になった耳で聴くと、テンポ感や響きのバランス、呼吸の流れがより客観的に見えてくるのです。

時間をおいて複数回聴くことで、音と心の両方を立体的に振り返ることができます。


3.体と心を整える小さなルーティン

演奏会後の体は、アドレナリンの影響で普段より緊張しこわばっています。
ストレッチや深呼吸、軽いヨガなどで体のリセットをしましょう。

そして、心をほぐすためには「好きなことをする時間」も大切です。
本を読んだり、美味しいものを食べたり、ゆっくり湯船につかったり。

舞台上とはまったく違う穏やかな時間を過ごすことで、体と気持ちが自然に落ち着いていきます。

リラックスした状態で過ごすその時間が、次に向かうための大切な“充電”になります。


4.次のステップを焦らずに描く

本番が終わった直後は、空白のような時間が訪れます。
目標に向かって走り続けていた分、その後に「何をすればいいの?」という感覚が出ることもあるでしょう。

焦らず、心が自然に“次”を求めるまで待つことが大切です。

ふと聴いた曲に心が動いたり、新しい楽譜を手に取ったり——
そんな小さなきっかけが、次のステージの始まりになります。


寝て、食べて、また頑張る|筆者の経験談

私は本番まで全力で駆け抜ける分、終わった後は十分な休みを意識して取るようにしています。
疲れた体で次のことをするのは生産性の効率が下がるもとですし、

「まずは休む。」

これが次へのエネルギーを作るために必要不可欠だと感じています。

私の場合、本番の翌日は死んだように眠ります。(笑)
もちろんそうもいっていられないときもありますが、休めるときはしっかり休みます。

大好きなお肉も食べて、エネルギーチャージ。
そうこうしているうちに、不思議と次への力がめきめき湧いてきます。

私にとっては「睡眠」と「好きな食事」ですが、
それぞれの好みに合わせた方法でいいと思います。

大切なのは、「自分が心から癒される、リラックス方法」を取ることです。

これを読んでくださっているあなたにとって、リラックスできる方法は何でしょうか?
ぜひ、それを本番の翌日から実践してみてください。


まとめ:本番翌日は「余白を味わう日」

ピアノ演奏は、練習や努力だけでなく「休息」も大切なサイクルの一部です。

リサイタルや発表会の翌日は、次に進むための心の余白を味わう日として、ゆっくり過ごしてみてください。
その静けさの中から、また新しい音が生まれてくるはずです。

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