前回の記事では、「調」そのものの種類や特徴を紹介しました。
4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、
その「調」を楽譜上で示す記号――「調号(ちょうごう)」について解説します。
「調号」を理解すると、どんな曲を弾いていても「今、どんな調で演奏しているのか」がすぐに分かるようになります。
つまり、楽譜を読む力の土台となる重要なポイントなんです。
調号とは?どこに書いてあるの?
「調号」とは、その曲の調(ハ長調、ト長調、イ短調など)を示すための記号です。
書かれている場所は、楽譜の左端。
ト音記号やヘ音記号のすぐ右側に、♯(シャープ)や♭(フラット)が並んでいますよね。
それが「調号」です。

この調号を見るだけで、「この曲は何調なのか?」が分かります。
♯や♭の数で調が決まる
前回も少し触れましたが、♯や♭の数によって曲の「調」が決まります。
たとえば――
- ♯も♭もなし → ハ長調 or イ短調
- ♯1個 → ト長調 or ホ短調
- ♭1個 → へ長調 or 二短調
といった具合です。
つまり、「調号の数」=「調の種類」を表しているわけです。
調号には順番がある!
ここで勘違いしやすいのが、「♯や♭はどこにつけてもいいのでは?」という点。
生徒さんからもよく、
「♯が1個なら、どこか好きな音に付ければいいんですよね?」
という質問をいただきます。
しかし、答えは NO!
実は、調号にはきちんと付ける順番が決まっています。
♯と♭の順番は「呪文」で覚える!
調号の並びにはルールがあります。これを一度覚えてしまえば、一生使えます。
♯の順番:ファ → ド → ソ → レ → ラ → ミ → シ
♭の順番:シ → ミ → ラ → レ → ソ → ド → ファ
つまり――
♯は「ファドソレラミシ」!
♭は「シミラレソドファ」!
実はこの2つ、順番がまったく逆なんです。♭の呪文は、♯の呪文を逆から読んだだけ。
この「呪文」を声に出して覚えておくと、どんな調号でもすぐに判断できるようになります。
例:♯1個のト長調を見てみよう
たとえば、♯1個の調号。このとき、♯が付くのは最初の音「ファ」だけです。
つまり、「ファの音を半音上げて弾く」ということ。
この調号が書かれているとき、楽譜の中で出てくるファの音はすべてファ♯になります。
この♯1個(ファ♯)の調は、ト長調またはホ短調。
どちらも「ファ♯が出てくる調」という共通点を持っています。
調号は最大7個まで!
♯や♭はいくつでも付けられるわけではありません。
どちらも最大7個までと決まっています。
♯の決められた順番は、「ファドソレラミシ」。

♭の決められた順番は、「シミラレソドファ」。

この7つの順番を理解していれば、どんな曲を見ても「調の構造」が見えてくるようになります。
調号から調を見分けるのは次のステップ
「どの調号が何調に対応しているのか?」
という見分け方も、法則さえ知れば簡単に分かるようになります。
それについては、次回の記事「調号から調を見分ける方法」でくわしく説明します。
まずは今回の“呪文”を完全に覚えることが第一歩です!
まとめ|調号を制す者は、譜読みを制す
一見ややこしく見える「調号」ですが、実はとてもシンプルな仕組みでできています。
- 調号は、曲の調を表す記号
- ト音記号やヘ音記号の横に書かれている
- ♯は「ファドソレラミシ」
- ♭は「シミラレソドファ」
- どちらも順番が決まっていて、最大7個まで!
この「呪文」を覚えておくだけで、楽譜を開いた瞬間に調が分かるようになります。
今日から、ぜひ声に出して唱えてみてくださいね。



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