「今日は弾けない…」そんな日こそ、できることがあります
どんなにピアノが好きでも、「今日はどうしても弾けない」「気分がのらない」「時間がない」という日はあります。
でも、そんな日を「何もしない日」にしてしまうのはもったいない。
ピアノは「鍵盤に触ること」だけが練習ではありません。
弾けない時間をどう過ごすかで、次にピアノに向かったときの上達スピードが変わります。
4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、弾けない日でも上達につながる「ピアノ時間の使い方」をご紹介します。
ピアノを弾けない日こそ「音楽の感覚」を育てるチャンス
① 譜読みをする(鍵盤なしでもOK)
ピアノを弾かなくても譜読みはできます。
たとえば、次に練習する曲の楽譜を眺めて
・拍子や調性、臨時記号の流れをチェック
・メロディラインを確認
・難しそうな箇所に印をつける
・音楽をイメージする
この「頭で弾く練習」をしておくと、実際に鍵盤に触れたときに指が動きやすくなります。
プロのピアニストも、譜面を読むだけの日を設けることがあります。
② 他の人の演奏を聴く
YouTubeや配信サービスなどで、同じ曲をいろいろな演奏家で聴き比べてみましょう。
テンポ・フレーズの作り方・ペダルの使い方など、聴くだけで学べることは多くあります。
「この人の演奏、なぜ心に残るんだろう?」と感じたら、どんな表現をしているか分析してみると良いです。
耳を育てる時間は、弾けない日にもできる最高の【耳トレ】です。
③ イメージトレーニングをする
頭の中で鍵盤を思い浮かべ、練習している曲の音をイメージしてみましょう。
実際に指を動かさなくても、「この音を弾くときの手の形」「次の音へのつながり」をイメージするだけで、脳は練習と同じように働きます。
弾いている時には気づけなかった音楽の流れや表現を確認するのにも最適です。
④ 自分の録音を聴き返す
以前録った自分の演奏を聴き返すのも立派な練習です。
テンポのズレやペダルの濁り、音のバランスなどを冷静に確認できます。
「前よりここが良くなった」「この部分はまだ不自然だな」と分析することで、次にピアノに向かったときの改善点が明確になります。
録音は“自分を映す鏡”のようなもの。上達を客観的に見るのに最適なツールです。
⑤ 音楽から少し離れてリフレッシュする
疲れているときに無理に練習しても、指も耳も思うように働きません。
そんなときは思い切ってピアノから離れる勇気も必要です。
散歩したり、映画や美術館に行ったり、他の芸術に触れることで感性が磨かれ、結果的に音楽表現が豊かになることもあります。
「弾かないことも練習のうち」と考えると、気持ちが少し軽くなるはずです。
私が特におすすめする「弾けない日のおすすめ練習方法」
私が特におすすめする「弾けない日のおすすめ練習方法」は、電車での通学・通勤時間に楽譜を眺めて音楽を想像するという方法です。
学校や仕事に行っていると、どうしても練習できない日があります。
大学生・大学院生だった過去。仕事をしている今。
私にとって電車の移動時間は、練習している曲への理解やイメージを冷静に膨らますことのできる、貴重な時間です。
楽譜を開いていると隣やまわりの人から見られるかもしれませんが、気にしないでください。
私もそうしていましたし、そうしている人を見かけたこともあります。
電車などの移動時間は、実は誰でも簡単に取り組めて、かつ大きな効果を得られる、効率の良い練習方法なのです。
まとめ|ピアノに触れなくても、音楽は止まらない
ピアノを弾けない日は、決して無駄な日ではありません。
むしろ、「聴く力・読む力・感じる力」を育てる大切な時間です。
・譜読みで構造を理解する
・名演奏を聴いて耳を育てる
・録音を聴いて客観的に見直す
・リフレッシュして心を整える
これらは、どれも立派な練習です。
ピアノは「鍵盤に向かう時間」だけで上達するものではありません。
弾けない日も音楽に触れ続けていれば、きっと次に弾いたとき音楽が変わっているはずです。
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