フレーズとはなにか
音楽をしていると、必ず出会う「フレーズ」。
「音楽のまとまりだよ。」と言われることは多いけれど、実際にどう意識して演奏したらいいのか。
結局のところは何なのか。
こんな方におすすめ!
・フレーズをもっと理解したい
・フレーズとは何なのか知りたい
結論!フレーズとは「歌」であり、「文章」である。まとめ方にコツあり。
今回の記事が、皆さんの疑問の手助けとなったらうれしいです。
フレーズをまとめる3つの「○○」
フレーズは「歌」
音楽はもともと「歌」からスタートしました。
一呼吸で歌える分は、どんなに息が長い人でも限られています。
この「一呼吸で歌える分」がフレーズです。
実際に声に出して歌う
ピアノでメロディーがある曲を演奏するとき、実際に声に出して歌うことで、
・どこまでがひとまとまりか。
・どのように音楽を持っていけば一呼吸でまとめられるのか。
を明確にすることができます。
「あれ、なんか流れが悪いな。」
「今の流れじゃ一呼吸で歌えないな。」
というときは、フレーズがうまくまとめられていないサインです。
この方法をためして、少しずつフレーズのまとまりをよくしていきましょう。
フレーズは「文章」
フレーズは「文章」にもたとえられます。
たとえば、日本語の「ありがとうござます。」は一息に言います。
けっして「あ。りが。とう。ござい。ます。」とは言いません。
音楽も同じです。
「ありがとうございます。」が一呼吸で流れて言うように、
音楽も音単体(日本語ならひらがな単体)ではなく、ここまでが一つの文章だなということを意識して聴いている人にもわかるように弾くことが重要です。
そうは言っても、「音楽は言葉じゃないからどこまでが文章かわからない」という方は、以下の目安でフレーズを捉えることをおすすめします。
4小節、または8小節が基本
フレーズは、4小節、またはその倍の8小節でまとめられていることが多いです。
〈例1〉ベートーヴェン作曲/ピアノ・ソナタ第12番 Op.26 第1楽章冒頭より

このように、フレーズは一息で歌えるぐらいの長さで、分かりやすくまとめられています。(大きく8小節ととらえることもできます。)
この4小節間の流れを分断するように演奏すると、フレーズのまとまりはなくなり、文法が崩壊し、意味の通じないただの音の羅列になってしまいます。
実際に「ミーラーラーラソソーファソーミラーーシレードシー♪」
と歌ってみましょう。それがフレーズです。
それ以外の数の小節だったりすることも
時代が進んでくると、フレーズが4小節(8小節)であることを知りながら、あえてそこからはみ出してフレーズを構成している作品もあります。
〈例2〉ブラームス作曲/ピアノ・ソナタ第3番 Op.5 第1楽章冒頭より

こちらは、ひとフレーズ6小節になっています。
フレーズの「語尾」
フレーズの終わりを「語尾」という言葉で表したりします。
その名の通り、「言葉の終わり、言葉のしっぽ」。
先ほどの「文章」に通ずるものがありますね。
このフレーズの「語尾」は、音楽を演奏するうえでとても大切な要素です。
絶対に守らなければならない、「音楽の常識」ともいえます。
習字のようにすっとはらう
フレーズの「語尾」を演奏するときのポイントは、「習字のようにすっとはらう」ことです。
先ほどの〈例1〉に戻って考えてみましょう。
〈例1〉ベートーヴェン作曲/ピアノ・ソナタ第12番 Op.26 第1楽章冒頭より

フレーズは「文章」だと先ほどお伝えしました。
例に出した「ありがとうございます。」でいうと、
「ありがとうございます!」と「語尾」が強くなるのはおかしいですよね。
音楽においてもまったく同じことが言えます。
前の流れを無視して「語尾」だけ飛び出てしまわないように、よく耳で聞いてコントロールしなければなりません。
そうならないためには、前の音より少し弱く弾くのがポイントです。
〈例3〉ベートーヴェン作曲/ピアノ・ソナタ第12番 Op.26 第1楽章冒頭より【書き込みあり(ピンク線)】

★4小節フレーズの終わり、ドの音>シの音になるように弾きます。
とにかくフレーズの終わりを弱くすればいい、と前の流れを無視して弾くと、それはそれでおかしなことになるので注意が必要です。
まとめ
フレーズに関する3つの○○をお伝えしました。
音楽の始まりは「歌」です。
まるで本当に声に出して歌っているかのように、1フレーズ1呼吸でまとめましょう。
「ありがとうございます。」のひらがなのように、音楽も音単体ではなくまとまりで演奏する必要があります。
フレーズの長さは、基本4小節、長くてその倍の8小節であることが多いです。
フレーズの最後は「語尾」と表現します。
言葉の最後と同様、フレーズも「習字ですっとはらうように」おさめなければなりません。
前からの流れは意識しつつ、前の音よりも少し弱く弾きましょう。
以上、参考になればうれしいです。
フレーズを理解して、正しく作品を演奏しましょう!
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