♯13 西洋音楽の時代をざっくり知ろう!

楽典・音楽史

時代を知ることの重要性

ピアノを習っている人たちが弾く作品は、西洋音楽のものが多いです。

いわゆる「クラシック音楽」と呼ばれるものですが、皆さんは自分が弾いている作品がどんな時代に生まれた作品か知っていますか?

ただ音符を追って、弾くことだけに集中していませんか?

自分が演奏している作品の時代背景や作曲背景を知ることは、説得力のある演奏をするうえでとても大切です。

今回は西洋音楽の主な時代区分を、初心者向けにざっくり説明していきます。

ピアノを弾いていない方でも

「クラシック音楽ってこんなふうに時代が分かれているんだ」

「あの作曲家はこの時代区分なんだ!」

というふうに思っていただけたら、うれしいです。

結論!西洋音楽の主な時代区分は4つあり、それぞれ演奏のスタイル・特徴、演奏楽器が異なります。

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

(演奏楽器は、ピアノ、またはそれに準ずるものを前提にお話しします。)

西洋音楽の主な時代区分4つ

バロック(1600-1750年)

この時代の主な作曲家:バッハ、ヘンデル、スカルラッティ

主な使用楽器:チェンバロ、オルガン、クラヴィコード

現代で使われているピアノはまだ出現していません。

よって、この時代の作品を現代のピアノで演奏するときには注意が必要です。

この時代の鍵盤楽器は今のピアノに比べて、

×音量がそこまで出ない ×音がそこまで伸びない

こういった特徴があります。

私が大学生のとき、当時習っていた先生から

「バッハ作品の音を見ると、何の楽器を想定して書かれているかわかる」

と教わりました。皆さんにもそれを伝授します。

音が細かい→チェンバロ

歌うようなメロディー→クラヴィコード

バスの音が長い→オルガン

どんな楽器を想定して書かれているか、楽譜から想像するのも楽しいです。

バロック時代は、大作曲家バッハの死とともに幕を閉じます

古典派(1750-1820年)

この時代の主な作曲家:ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン

主な使用楽器:フォルテピアノ、ピアノ

フォルテピアノとは、現代のピアノの前身で、バロック時代のチェンバロなどに比べて「ピアノ」や「フォルテ」といった強弱をよりつけやすくなったことにより「フォルテピアノ」と呼ばれました。

フォルテピアノが現代のピアノと異なる点がふたつあります。

ひとつめは、ピアノ内部にある弦の張り方です。

グランドピアノをのぞいてもらうと分かりますが、現代のピアノは弦が交差して張られています。

これを「交差弦」といいます。

一方「フォルテピアノ」は平行弦で張られています。これが現代のピアノと異なる点です。

現代のピアノと異なる点ふたつめは、現代のピアノは弦をハンマーで叩くのに対して、「フォルテピアノ」は弦をはじく、という構造の違いです。

この二つの異なる構造によって、音量はそこまで出せないけど、より繊細な音の表情づけを可能にしています。

古典派の作品を弾く時は、記載がない限りテンポをゆらさず一定のはやさで弾くことが求められます。

「ソナタ形式」が生まれたのもこの時代です。

あくまでも私個人の見解ですが、古典派は豊かな表現は持ちつつ、きっちりかっちりなのが特徴かなと思っています。(決まりを守るところは守るといった)

※ソナタ形式については、別記事で紹介します。

ロマン派(1800-1900年代初期)

この時代の主な作曲家:ショパン、シューマン、リスト、ブラームス、チャイコフスキー、(シューベルト)

主な使用楽器:フォルテピアノ・ピアノ【19世紀後半に初めて88鍵のピアノが登場】

※シューベルトをかぎかっこで囲んだのは、シューベルトはロマン派の時代に生きた作曲家でありながら、作風は古典派寄りのためです。

ロマン派の時代になってくると、テンポや形式を含め、ずいぶんと自由な作風になっていきます。

これは、サロンの発達や個人の表現といったものが出てきたためです。

ロマン派の作品は、古典派と異なりテンポを自由にゆらす「ルバート」を用いて演奏します。

ロマン派の作品を演奏し表現する際に必ず意識したいのが、

「触れそうで触れられない」「届きそうで届かない」

といったものです。なんとも切ない表現方法であり、美学のようにも感じますね。

この概念は、ロマン派の作品を演奏するのにとても重要なものです。

1890年代、スタンウェイ社が初めて88の鍵盤を持つピアノを製造・販売しました。現代で使われているピアノの構造は主にこちらのものです。

意外と歴史が浅いですね。

近現代(1900年初め-)

この時代の主な作曲家:ドビュッシー、ラヴェル、ラフマニノフ、プロコフィエフ

主な使用楽器:ピアノ、(電子楽器)

近代と現代を一緒にまとめると、範囲がかなり広くなってしまうのですが、近現代とまとめて呼ぶことが多いので、この時代区分にしています。

この時代になってくると、ピアノの表現がより多彩で自由なものになってきます。

ペダルは必ずといっていいほど使用します。

バロックや古典派のような演奏スタイルでのしばりはほぼ無くなります。

音楽が絵画的だったり、打楽器的だったり、いろんな要素を持ち始めるのがこの時代の特徴です。

まとめ

今回、ピアノにおける西洋音楽の時代区分をざっくりとご紹介しました。

もちろん、完璧に説明しているものではありませんが、ざっくりでもイメージを持っていただけたら、幸いです。

最後に、西洋音楽の時代区分4つをまとめます。

1.バロック(1600-1750年)

この時代の主な作曲家:バッハ、ヘンデル、スカルラッティ

主な使用楽器:チェンバロ、オルガン、クラヴィコード

古典派(1750-1820年)

この時代の主な作曲家:ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン

主な使用楽器:フォルテピアノ、ピアノ

ロマン派(1800-1900年代初期)

この時代の主な作曲家:ショパン、シューマン、リスト、ブラームス、チャイコフスキー、(シューベルト)

主な使用楽器:フォルテピアノ・ピアノ【19世紀後半に初めて88鍵のピアノが登場】

近現代(1900年初め-)

この時代の主な作曲家:ドビュッシー、ラヴェル、ラフマニノフ、プロコフィエフ

主な使用楽器:ピアノ、(電子楽器)

西洋音楽の時代を理解して、よりよい演奏を目指していきましょう!

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