♯97 【譜読みが早い人の共通点】実は“音をまとめて見る力”が鍵——譜読みが遅くなる理由と改善方法

練習法と上達のヒント

ピアノを教えていると、「譜読みが早い生徒」と「なかなか譜読みが進まない生徒」の差に気づくことがあります。
同じ年齢、同じ経験年数でも、この差ははっきり表れます。
では、この違いはどこから生まれるのでしょうか?

譜読みのスピードは、生まれつきの才能ではなく、楽譜の“見え方”と音楽の理解の仕方に大きく左右されます。

4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、

譜読みが早い人の特徴と、譜読みが遅い人が改善できるポイントについて、まとめてみました。


小さいころから「たくさんの曲をこなしている」

譜読みが早い子は、幼い頃から多くの曲を弾いていることがほとんどです。
曲数をこなすことで、

  • 音の動きのパターン
  • 和音の感じ方
  • フレーズの流れ
  • リズムの型

こうした“音楽の型”が自然とインプットされていきます。

型が頭に入っていると、新しい曲を見たときにも
「あ、この流れはあの曲と似ている」
と自然に推測できるため、譜読みが驚くほど早くなるのです。

つまり、たくさんの曲を経験することは、譜読みの“下地”をつくる最良の方法と言えます。


ソルフェージュ能力が高く、頭の中で音が鳴っている

譜読みが早い人は、楽譜を見た瞬間に 頭の中で音が鳴っています

  • 音程の動きがわかる
  • 和声の流れを予測できる
  • 譜面の“意味”として音を受け取る

つまり、ただの記号としてではなく「音楽」として楽譜を理解しているのです。

ソルフェージュができる人は、譜読みが早いだけでなく、暗譜も速く、仕上がりも安定します。

譜読み=音の再現ではなく、音の理解だからです。


音符を「単体」で見てしまっている

譜読みが時間がかかる生徒に共通するのは、
音符を“ひとつずつ”読む癖があること。

たとえば、
ド → 次はレ → 次はミ……
と、逐一読んでしまう状態です。

これでは、楽譜が永遠に“点の羅列”に見え、
フレーズの流れもハーモニーの意味も捉えられません。

譜読みを早くするには、
音符単体ではなく “まとまり”で見る力 が必要です。


和声やフレーズの知識がない(=予測できない)

ロマン派以前の音楽(古典派・バロックなど)は、
和声進行に一定の“決まり”があります。

  • ドミナントからトニックへ戻る
  • 属7のあとは落ち着く

こうした規則があるため、「次に来る和音」がある程度予測できます。

譜読みが早い人は、この “予測” を無意識に行っています
だから音符の並びを全部読まずとも、音楽の流れを先取りしながら読めるのです。

逆に、和声知識がないと、
「すべての音符をその都度読まなければならない」状態になるため、スピードがどうしても遅くなります。

譜読みの速さを上げたいなら、
和声・フレーズ・構造の理解は必須 と言えます。


① 和声やフレーズの“まとまり”で見る習慣をつける

右手だけ、左手だけ…ではなく、
「和声で何が起きているか」 を見るクセをつけるだけで速度は劇的に変わります。

  • 和音が変わるタイミング
  • フレーズの区切れ目
  • 進行の方向性

これらを一度意識するだけで、楽譜の“見え方”が変わります。


② ソルフェージュ能力を鍛える

  • 音程感
  • 簡単な視唱
  • 簡易的な和声の聴き取り
  • 移調

これらを日常的に行うと、
“頭の中で音が鳴るスピード”が上がります。


③ 初見演奏の訓練をする

実は、譜読みスピードを上げるのに効果があるのは 初見練習 です。

初見を通して、

  • 音をまとめて見る力
  • 流れを止めない力
  • 全体を俯瞰する視点

が自然と養われます。


私は、ピアノのレッスンで左手の分散和音をまとめて弾くように、生徒さんたちに指導しています。

たとえば「ドミソミ」と左手が動いていたら「ドミソ」、
「ドファラファ」なら「ドファラ」、
「シレソレ」なら「シレソ」。

というように、分かれている和音をまとめて同時に押さえる。
それを連続で最後までやります。
「譜読みがあまり早くない生徒さん」も、一音一音読む作業をせずにあっという間に左手が弾けるようになります。

ぱっと一目で見てパターンとして覚えて弾けるようにする。

譜読みの速さは、楽譜をどう認識しているかが大きな鍵です。

  • たくさんの曲を経験している
  • ソルフェージュ能力が高い
  • 和声やフレーズを“まとまり”で見る
  • 音を予測できる
  • 初見の経験値がある

これらがそろうと、譜読みは自然と速くなります。

逆に、音符を個別の記号としてしか見ていないうちは、どれだけ練習してもスピードは上がりません。

譜読みが早くなりたい生徒には、
“音符をまとめて見る目” を育てるレッスンをしていきたいと思っています。


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