ピアノの発表会の選曲は、私にとってとても大切な時間です。
どんな曲を弾くかによって、その生徒さんの成長の方向も、モチベーションの高さも変わっていくからです。
単に「弾けそうな曲」を選ぶのではなく、「今のその子にとって意味のある曲」を見つけたいと思っています。
4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、
ピアノ発表会の選曲で大切にしていることをお話しします。
生徒がその曲を弾いている姿を想像する
選曲の最初のステップは、私の中でその生徒さんがその曲を弾いている姿を想像することです。
音の響きやフレーズの流れを頭で思い浮かべながら、
「この子がこの曲を弾いたら、きっと素敵に仕上がりそう」と思えるかどうかを大切にします。
同じ曲でも、弾く人によってまったく印象が変わる
たとえば元気で明るいタイプの生徒には軽やかで動きのある曲が合うこともあれば、内向的で音に深みをもつ生徒には静かで表情豊かな曲がしっくりくることもあります。
大切なのは、その子らしさが自然にあらわれる選曲かどうか。
演奏を通して「自分を表現できた」と感じられることが、音楽の喜びにつながると思うのです。
「少しだけ難しい曲」を選ぶ理由
私は、候補曲を考えるときに、生徒の現在のレベルより“ほんの少しだけ”難しいものを含めるようにしています。
それは、発表会をステップアップのきっかけにしてほしいからです。
いつもより少し高いハードルを設定することで、練習の中に新しい気づきや成長が生まれます。
ただ難しい曲を与えるわけではない
「努力すれば必ず弾ける」と思えるラインを見極めることが大切です。
達成できる見通しを持ちながら挑戦することが、生徒に自信を与えてくれます。
発表会が終わったあと、「あの曲が弾けたんだから、次もきっとできる」と思える経験を積んでほしいのです。
自分で選ぶことで、モチベーションが変わる
最終的には、3~5曲の候補を用意し、生徒本人に選んでもらうようにしています。
この「自分で選ぶ」という過程が、モチベーションに大きく影響します。
人に選ばれた曲よりも、自分で「これを弾きたい」と決めた曲の方が、
練習に向かう姿勢がまったく違ってきます。
同じ曲を弾いていても、主体性を持って取り組むと音が生き生きしてくるのです。
「この曲は難しそうだけど、どうしても弾きたい」という生徒もいる
そんなときは、その気持ちを尊重して背中を押します。
挑戦したいという気持ちがあるなら、少し大変でもそれを支えるのが先生の役目。
どうしてもそのときのレベルでは弾けなさそうなら、翌年、または翌々年に弾けるようにします。
音楽の中に自分の目標を見つけた瞬間、その子の中に新しい火が灯るように感じます。
“弾きたい”という気持ちを信じて
発表会の選曲には、ひとりひとりの性格・成長段階・生活のリズム、
そして“今この瞬間の気持ち”まで、たくさんの要素が関わります。
その中で私が大切にしているのは、
「その生徒が今、心から弾きたいと思える曲」を見つけることです。
音楽は“義務”ではなく、“表現”
自分の意思で選んだ音を、自分の手で響かせる。
その体験こそが、学びの根っこになるのではないでしょうか。
発表会の舞台に立った生徒たちが、
終わったあとに「この曲を弾けてよかった」と笑顔で言ってくれるとき、
私は「あぁ、この選曲にしてよかった」と心から思います。
選曲とは、単なる曲決めではなく、
生徒と先生が一緒に歩む“成長の物語”の始まり。
これからもその時間を大切にしていきたいと思っています。
あの頃弾いた曲は宝物|筆者の経験談
私自身、小さいときの発表会では先生が勧めてくださったものを弾いたこともありますし、
「自分が弾きたい」と言って弾いたこともあります。
先生が選んでくださる曲は、私が輝けるような、得意を伸ばせそうな曲でした。
選曲というのはとても大切だと感じています。
それによってモチベーションも成長具合も、まったく変わってくるからです。
あのとき演奏した曲たちは、私にとって宝物です。
「聴くとあの頃を思い出す」ーー生徒たちにもそんな曲との出会いになってほしいです。
まとめ
- 生徒がその曲を弾く姿を想像して、しっくりくるかを考える
- 少しだけ難しい曲で成長を促す
- 最後は本人に選ばせて主体性を育てる
- 「弾きたい」という気持ちを信じることが、一番のモチベーションになる
これからも、生徒が成長することができ、輝けるための選曲を行っていきます。
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