ピアノの本番当日。
「ちゃんと弾けるかな」「緊張しないかな」——そんな気持ちが胸の中を行き来します。
でも私は、できるだけ“普段通り”の自分でステージに立ちたいと思っています。
そのためにいつも意識している、私の本番当日のルーティンを紹介します。
朝はゆとりをもってスタートする
本番の日は、少し早めに起きて、朝から「時間にゆとりをもつ」ことを大切にしています。
慌ただしく支度すると、それだけで気持ちが焦ってしまうからです。
コーヒーをゆっくり飲みながら一日のスケジュールを確認し、静かな気持ちで一日を始めます。
食事は軽めに済ませます。
満腹にしないことで、体が軽く集中しやすい状態を保てます。
私の定番は「バナナ」。エネルギー補給になり、胃にもやさしく、演奏中に空腹を感じることもありません。私はだいたい、本番一時間前くらいにバナナを食べます。
そしてもうひとつの必需品が「チョコレート」。これも欠かせません。
糖分が脳に届くと、気持ちも少し明るくなります。
ポジティブなイメージで心を整える
本番前に私が必ずするのは、「理想通りに弾けている自分を想像する」ことです。
舞台裏で深呼吸をして、照明の明かり、客席の空気、ホールの静けさを思い描く。
舞台に一歩踏み出し、お辞儀をして、椅子に座り、最初のフレーズを弾き始める——。
その一連の流れを心の中で再生することで、不思議と心が落ち着いてきます。
「うまく弾けるかな」ではなく、「理想通りに弾けている自分」を強くイメージする。
この切り替えが、本番のエネルギーをプラスに変えてくれるのです。
ホールの響きを味方にする
会場に着いたら、まずホールの響きを確認します。
ピアノの鳴り方や残響を感じることで、「この空間で音を育てよう」という感覚が生まれます。
リハーサルでは、テンポやダイナミクスよりも、音がどう響いているかを丁寧に確かめます。
その瞬間からはもう「練習」ではなく、「音楽を楽しむ」時間。
ステージの空気を感じながら、自然に体と心を舞台モードに整えていきます。
「今に集中」と唱える
本番直前、私はいつも心の中で「今に集中!」と唱えます。
過去の練習も、未来の不安も、すべていったん手放して、
“いま鳴っている音”に心を委ねる瞬間。
これが私の集中スイッチです。
そして、もうひとつ大切なのが「笑顔」。
緊張していても、意識的に笑顔をつくると、心と体が自然にリラックスします。
ステージの照明の下で笑顔になれたら、きっと音も優しく伸びていく。
そんな気がしています。
焦りから失敗した本番|筆者の経験談
小学校2年生からピアノのコンクールを受けて、現在に至るまで数々の本番を踏んできました。
過去を思い返してみても、失敗した経験のほうが多いように思います。
失敗した本番のなかでもとても印象に残っているのは、高校1年生のときに受けたコンクールでのことです。
本選という、残りあと一回演奏したら賞が決まるという場面でした。
そんな中、私の演奏番号はまさかの1番。(たしか、二十数名いるなかで)
1番というのは、先生たちのなかでその後の点数の基準となってしまうので、できれば避けたい番号です。
比較的に不利な状況で、追い打ちをかけるように私はあるミスをおかしました。
本番前、その日のために新調したドレスにカルピスジュースをこぼしたことです。(今となっては笑い話)
心が焦っていて、急いで飲んでしまったが故でした。
もう舞台裏に行かなければならないのに、大きなシミができたまま。
どうすることもできず、そのまま舞台に上がって演奏しました。
結論から言うと、私はものすごい速さで演奏して指が回らずミスを重ねて賞を逃しました。
ジュースをこぼしたことだけが失敗した理由ではないと思いますが、
演奏の集中を妨げる要因となったのは事実です。
それ以降、本番には余裕をもって行動しなければならないということを強く思うようになりました。
そこからいろいろな試行錯誤を経て、今のルーティンに至っています。
まとめ:気張らず、自然体で音楽と向き合う
「本番だから」と気負わず、いつも通りの自分でステージに立つこと。
それが、私が最も大切にしている本番前の心の整え方です。
バナナとチョコレートでエネルギーをチャージし、
ゆったりした時間の中でポジティブなイメージを描く。
そして、ホールの響きと“今”に集中する。
そうして音楽とひとつになれた瞬間、
不思議と心は静かに満たされ、音が研ぎ澄まされていきます。
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