演奏を終えたあと、「あそこはうまくいかなかった」「もっと良くできたのに」と思うことは、誰にでもあることです。
私も本番が終わるたびに、嬉しさと同じくらい反省の気持ちが湧いてきます。
ただ、反省の仕方を間違えると、せっかくの経験が“落ち込むだけの時間”になってしまいます。
4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が、
失敗にとらわれすぎず、「次につなげるための演奏後の振り返り方」を解説します。
すぐに振り返る理由
本番が終わってすぐ、私はまず自分の演奏を思い返します。
気持ちが熱いうちに、「どこで力が入りすぎたか」「テンポが崩れたのはどのあたりか」などを記憶のまま書き留めておくのです。
また、できるかぎり本番の録音は残すようにしています。
あとから客観的に聴くことで、ステージ上では気づかなかったことが見えてくるからです。
自分の演奏を聴くのは正直なところ少し勇気がいりますが、「聴くのが怖い」という気持ちは、上達のチャンスを逃すことにもつながります。
演奏の余韻が残るうちに、冷静に振り返る。これが次に活かす第一歩だと感じています。
失敗にとらわれすぎない
うまくいかなかった箇所があっても、落ち込む必要はありません。
大切なのは「なぜそうなったのか」を冷静に分析すること。
・練習段階での準備不足だったのか
・本番の緊張でテンポが速くなったのか
・会場の響きに対応できなかったのか
原因を明確にすれば、次に取るべき行動が見えてきます。
反省とは、自分を責めることではなく「改善点を探す作業」なのです。
うまくいったときも分析を
「成功した」と感じる演奏のあとも、私は同じように振り返ります。
なぜうまくいったのかを知ることも、次につなげる大切な材料です。
・リハーサルでどんな準備をしていたか
・当日のコンディションがどうだったか
・気持ちの持ち方に違いがあったか
良かった点を具体的に言葉にすると、自分に合った演奏のスタイルが見えてきます。
成功も失敗も、すべてが学びの材料です。
失敗から見えたこと|筆者の経験談
私も、これまでに何度も本番で悔しい思いをしてきました。
・自分では上手に弾けたと思っていたのに、あとから録音を聞き返したら「よく指が回ったな」と思うくらいにテンポが速すぎたり。
・大切な決め音を何度も外して、演奏に物足りなさを与えてしまったり。
・何度も練習したはずなのに、ふと頭が真っ白になってしまったり。
いくつもの失敗を重ねてきました。
ですが、私はただで転びたくないので、本番の度に振り返る習慣が自然と身についていきました。
「なぜテンポがとんでもない速さになってしまったのか。」
ーー緊張で脈が速くなり、それに合わせて呼吸が浅くなってしまっていた。練習の時から速いテンポで練習しすぎていた。次からは本番前にメトロノーム(電子)で確認しよう。
「なぜ大事な決め音を何度も外してしまったのか。」
ーーそれは、体に余計な力が入っていて、緊張でさらに体が固まってしまったから。練習の時から体の使い方をもっと意識しよう。
「なぜ練習では問題なく弾けていたのに、頭が真っ白になってしまったのか。」
ーーなんとなくで弾いていて、頭でしっかり理解して覚えられていなかった。本番前こそ落ち着いて細部を確認しよう。
これは一部の例ですが、私はこのようにして数々の本番を乗り越えてきました。
本番で「練習のうちの100%出せた!」ということは一度もありませんし、おそらくこれからもないとは思いますが、常にそこは目指して取り組みたいと思っています。
まとめ|失敗も糧にして、次へ進む
演奏のあとの反省は、落ち込むためではなく「次に生かすため」にあります。
失敗した自分を責めるよりも、「次はこうしてみよう」と前を向くことで、音楽は確実に成長します。
ピアノを続けている限り、完璧な演奏はありません。
だからこそ、毎回の本番が学びの場であり、次へのステップになるのだと思います。
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