♯42 ピアノの本番で集中力を高めるルーティン|緊張を味方にする習慣

本番関連

ピアノの本番は、誰でも緊張するもの。

「いつも通りに弾きたい」と思っていても、集中力が乱れてしまうと実力を出し切れません。

そんなときに役立つのが、自分なりの 「集中力を高めるルーティン」 です。

ちょっとした習慣を身につけるだけで、心が落ち着き、舞台に立つ自分を自然と整えることができます。

4歳からピアノを始めて音高・音大と進み、約30人の生徒にピアノを教えながら現役で演奏活動を続ける私が、ピアノの本番で集中力を高めるための具体的なルーティンを紹介します。

本番前にいつも同じ行動をとることで、心と体が「演奏モード」に切り替わりやすくなります。

これはアスリートや舞台俳優も実践している方法で、ピアノの本番にも効果的です。


本番前の過ごし方ルーティン

会場に早めに入って雰囲気に慣れる

会場の空気や音響に慣れておくと、不安が和らぎます

コンクールであれば、少し早めに会場入りをして他の参加者の演奏を聴いて、当日のピアノの響きを確認します。

会場でゆっくりとリラックスした時間を過ごすのもいいでしょう。

軽いストレッチで体をほぐす

手首・肩・背中を軽く伸ばすことで、体のこわばりが取れ、演奏時の動きがスムーズになります。

手をグーパーしたり、指を一本ずつ動かしたり、手の体操もします。

緊張や待ち時間の長さから体が固まってしまいがちなので、これらのストレッチは必ず行うようにします。

あくまでも軽いストレッチにしましょう。本番前に体力を消耗しすぎるのはよくありません。

軽食を食べる(おすすめはバナナとチョコレート)

演奏には、体力と集中力がいります。

お腹いっぱいになってしまうと、眠くなったり体が重くなったりしてしまいます。

ほどよくお腹を満たすことが必要です。

私のおすすめは、バナナとチョコレートです。

バナナは即効性があり、かつ持続性のあるエネルギー補給を可能にしてくれます。

チョコレートはいわずもがな、頭にエネルギーを送るためです。

食べすぎは注意ですが、私は必ず本番前にこれらのものを食べています。

楽譜を眺める

私が楽譜を眺める理由としては、暗譜の最終確認のためもありますが、これから自分が演奏する音楽をあらためて頭で想像するためです。

「どういう音楽をしたいのか」

「聴いている人に何を伝えたいのか」

もう一度楽譜を眺めることで、最終確認します。


心を落ち着けるルーティン

呼吸法で緊張を和らげる

ゆっくり深く息を吸って、長く吐き出す呼吸を数回繰り返すと、心拍が安定し集中しやすくなります。

呼吸をコントロールすることで、自分の心も落ち着かせます。

ポジティブなイメージトレーニング

「うまく弾けるかな」「あそこミスしたらどうしよう」

こんなことを考えていたら、負の感情にとらわれてパフォーマンスの質が下がってしまいます。

どんなに不安な気持ちになっても良いことは起こらないし、もう練習もできないので、

「うまく弾けた自分を想像する」

これだけに徹しましょう。

テクニック的に難しくて不安なところも、完璧に弾けている自分を想像する。

暗譜飛びも一度もなく、最後まで落ち着いて集中して弾けている自分を想像する。

結果、暗譜飛びやミスをしてしまっても、ネガティブな想像をしているよりずっと良い演奏ができているはずです。

笑顔を作る

はたから見たら変な人にみられる可能性はありますが、誰にもみられていないところで意識的に笑顔を作りましょう

笑顔は、誰でも簡単にポジティブなエネルギーを引き寄せることができるツールです。

楽しいことがなくても、面白いことがなくても、笑顔を作る。

むしろ、恐怖に負けそうなときや不安なときほど笑顔を作る。

自然と心や体がほぐれていくはずです。

「今に集中!」と小さく声に出す

本番前に不安にかられるのは、「演奏が失敗するかもしれない」という未来の不安にとらわれているからです。

起こるかわからない未来にとらわれるのではなく、二度と訪れることのない「今」という時間を大切にする。

自分が「今」出している音に集中するんだということを頭にすりこむために、本番前にあらためて唱えましょう。

瞑想する

余計な雑念から解放し、心を落ち着けるにはこれが一番です。

可能であれば真っ暗な空間で行うのがいいでしょう。

これから演奏することなんてすっかり頭から葬り去って、無の状態を作りましょう。

また不安にかられそうになっても、心の落ち着き具合はずいぶんましになるはずです。


演奏直前のルーティン

会場に出て行くところから弾くところまで具体的にイメージする

演奏をするところだけを想像するのではなく、会場に出ていくところから弾き始めたところまで具体的に想像するのも効果的です。

会場に出ていく→おじぎをする→ピアノの椅子を調整する→座る→鍵盤に指を置く→演奏をする

ここまでの一連の動きを想像をします。

そして、先ほども言いましたが、演奏は自分が理想とする演奏ができていることをイメージしてください。

最初の音を大事にイメージする

先ほどの続きでもありますが、出だしの一音を丁寧にイメージするとそのまま集中して演奏に入ることができます。

「どんな音で始めたいのか」

弾く前にはっきりと想像するようにしましょう。

番外:冬はカイロや手袋必須

当たり前ですが、冬場は手が冷たくなり動かしづらくなるので、必ずカイロや手袋を持っていくなど寒さ対策をしましょう。

少しでも万全な状態で良いパフォーマンスをするために、できることはすべて行いましょう。


本番の緊張は、決して悪いものではなく、集中力を高めるエネルギーにもなります。

大切なのは、自分に合ったルーティンを見つけて「いつもの自分」を取り戻すことです。

会場に早めに入る、軽く体をほぐす、呼吸を整える、笑顔を作る―。

どれも小さな習慣ですが、積み重ねることで大きな安心感につながります。

ピアノの本番を「緊張する時間」ではなく「自分の音楽を伝える時間」として楽しむために、今日から少しずつ自分なりのルーティンを実践してみてください。

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