♯163 「ピアノの練習に飽きた」は演奏劣化のサイン?本番までモチベーションを保つ練習のコツ


「あんなに好きだった曲なのに、最近練習するのが苦痛……」
「数ヶ月同じ曲ばかり弾いていて、もう飽きてしまった」

ピアノを真剣に続けていると、必ずと言っていいほど直面するのが「練習のマンネリ化」です。
特にコンクールや発表会を控えている時期は、一曲を数ヶ月単位で作り込むため、途中で集中力が切れてしまうのは珍しいことではありません。

しかし、飽きた状態で闇雲に練習を続けると、演奏の質が下がる「練習の劣化」を招く恐れがあります。

この記事では、今の曲に飽きてしまった時の心の整え方と、本番に向けて演奏の鮮度を保つための具体的なメソッドを解説します。

筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

なぜピアノの練習に「飽き」がくるのか?

ピアノの練習に飽きてしまうのには、いくつかの明確な理由があります。

  1. 長期にわたる準備期間:コンクールや発表会では、3ヶ月〜半年近く同じ曲を弾き込みます。どれほど名曲でも、毎日向き合えば刺激がなくなるのは当然です。
  2. 仕上がりの停滞感:譜読みが終わり、ある程度弾けるようになると、そこから先の「1ミリの磨き上げ」に時間がかかります。変化が見えにくい時期はモチベーションが下がりやすくなります。
  3. 「慣れ」による脳のサボり:指が勝手に動くようになると、脳が思考を停止します。これが「飽き」の正体です。

注意!「慣れ」が引き起こす演奏の劣化とは

一番怖いのは、飽きたまま惰性で指を動かし続けることです。これを放置すると、せっかく積み上げてきた演奏が「劣化」し始めます。

昨日まで弾けていた箇所でミスをしたり、表現が雑になったり……。

これは、指が動きに慣れすぎてしまい、集中力が欠如した状態で「なんとなく」弾いていることが原因です。

心の不安に任せて、ただ回数をこなすだけの練習は、かえって悪い癖を定着させるキケンがあります。

本番前に演奏を崩さないためには、意識的な「気分転換」が不可欠なのです。

【筆者の経験談】練習しているのに「下手になった」と言われたあの日

私自身、コンクールや発表会の前には、曲との付き合い方に何度も悩まされてきました。

練習時間は誰よりも確保しているはずなのに、レッスンで先生から
前より下手になった」と指摘され、絶望したことが何度もあります。

焦れば焦るほど「こんなに弾いているのに、なぜ?」と、ますます負のスパイラル(ドツボ)にはまっていきました。

そんな時、先生から受けたアドバイスは意外なものでした。

「三日間、まったくピアノを弾かない日を作ってみなさい」

本番を控えた時期に「三日も!?」と耳を疑いましたが、藁をも掴む思いでピアノを封印しました。
もちろん、本番直前ではないタイミングでしたが、弾きたい衝動を抑えて休むのは勇気が必要でした。

しかし三日後、久しぶりに鍵盤に触れると、驚くほど曲が新鮮に響いたのです。

「ここはもっとこう表現できるかも?」というアイデアが次々と湧き、実際の演奏も、先生から「よくなったよ」と言っていただけるまでになりました。

焦りは、音楽に不可欠な「心の余裕」を奪います。

闇雲に指を動かすだけでは、見えるものも見えなくなってしまう。
あえて離れる勇気」が、結果的に最短ルートになるのだと身をもって実感した出来事でした。

曲に飽きた時の特効薬:1日の練習メニューを見直す

本番が控えていたりすると、今の曲を完全に放り出すことはできません。
今まで積み上げた努力を水の泡にしないためにも、以下のバランスで練習を再構成してみましょう。

1. 「忘れない程度」のメンテナンス練習

今のメイン曲は、1日数回、ポイントを絞って弾くだけに留めます。

「今日はここのフレーズだけ完璧にする」「今日はゆっくり丁寧に1回だけ通す」

というように、短時間で高い集中力を使い、あとは深追いしないのがコツです。

2. 「遊び」の時間を意図的に作る

メインの練習が終わったら、自分の好きな曲、弾いてみたかった新曲を「遊び」で弾いてみましょう

楽譜を初見で読んでみたり、流行りのポップスを耳コピしてみたり。

この「寄り道」が脳に新鮮な刺激を与え、ピアノを弾く楽しさを思い出させてくれます。

ピアノに向かわない「外側からのアプローチ」

「飽きた」と感じる時は、ピアノの前に座ること自体がストレスになっている場合もあります。そんな時は、思い切って椅子から離れてみましょう

  • 散歩に行って五感を刺激する:外の空気を吸い、リズム良く歩くことで、固まった思考がほぐれます。
  • 他の演奏者の音源を聴く:同じ曲をプロや他の人がどう弾いているか聴いてみましょう。「こんな解釈があるのか!」という発見が、練習への意欲を再燃させます。
  • 楽譜をじっくり「眺める」:音を出さずに楽譜だけを見ます。どんな音符が並んでいるか、先生からの書き込みは何だったか。視覚的に情報を整理することで、自分の演奏を客観視できます。

まとめ:モチベーションをコントロールして曲と上手く付き合おう

ピアノの曲を仕上げる工程は、彫刻を掘る作業に似ています。
削りすぎると形が崩れてしまうように、練習もやりすぎ(惰性の練習)は逆効果です。

  • メイン曲は「短時間・高集中」で維持する。
  • 他の曲を「遊び」で弾いて脳をリフレッシュさせる。
  • 散歩や鑑賞など、ピアノ以外の時間も大切にする。

「飽きた」というのは、あなたがその曲を十分に弾き込んできた証拠でもあります。

自分のモチベーションを上手にコントロールして、最高の状態で本番を迎えられるよう、ピアノやその曲と「適切な距離感」を持って付き合っていきましょう。

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筆者プロフィール:

4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。


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