♯148 ピアノの基礎とはなにか?上達への最短ルートを築く「3つの柱」と真の練習法


「ピアノの基礎ってなに?」
「基礎を固めてから弾きたいけど、何をすればいいのかわからない」……。

ピアノを学ぶ中で、このようなことを考えたことはありませんか?

実は、多くの人が「基礎」だと思っている指番号や音符の読み方は、あくまでピアノの世界への「導入」に過ぎません

家を建てる際に土台が最も重要であるように、ピアノ演奏にも、一生涯の演奏を支え続ける「本当の基礎」が存在します。

本記事では、導入の先にある「本当のピアノの基礎」とは何かを再定義し、それを身につけるための具体的な方法を解説します。

この基礎を固めることは、あなたが憧れの曲を自由に、そして美しく弾きこなすための「最強の近道」となるはずです。

筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

「導入」と「基礎」は似て非なるもの

まず整理しておきたいのが、「導入」と「基礎」の違いです。

ピアノを始めたばかりの頃に習う「指番号を覚える」「ドの位置を覚える」「楽譜の読み方を覚える」といった作業。これらは、ピアノという楽器を扱うための「最低限のルール」であり、いわば「導入」です。

対して「基礎」とは、その言葉の通り、あなたの演奏表現すべてを支える「元(もと)」となる力です。
ルールを知っているだけでは、人の心を揺さぶる演奏はできません。ルールを使いこなし、自分の血肉に変えていくための土台こそが、今回お話ししたい「真の基礎」なのです。

私が考えるピアノの基礎とは、次の3つの要素で構成されています。

  1. 音の良し悪しを判断できる「
  2. 思い通りにコントロールできる「確かな指(体)
  3. 作品への理解を深める「正しい知識

これらをすっ飛ばして練習を重ねても、指が回るだけの「作業的な演奏」になってしまい、本当の意味での上達は遠のいてしまいます。

第1の柱:音の美しさを聴き分ける「耳」

ピアノにおいて最も大切なのは、自分が今出している音が「良い音か、そうでないか」を判断できる耳を持つことです。

耳を鍛えるには、何よりも「多様な音楽に触れる経験」が欠かせません。それはクラシックに限定する必要はなく、ジャズ、ポップス、ロックなど、ジャンルを問わず多様な音楽を浴びるように聴くことが大切です。

  • うまい人の演奏を聴く: 理想的な音の響き、フレーズの歌い方を脳にインプットします。
  • そうでない人の演奏も聴く: 「なぜ今の演奏は不自然に聞こえたのか?」を考えることで、自分の演奏を客観視する力が養われます。

聴いた経験が多ければ多いほど、あなたの「理想の音」の基準は高くなります。

耳が育っていない状態で練習をするのは、地図を持たずに暗闇を歩くようなもの。まずは耳を育て、目指すべきゴールを明確にしましょう。

第2の柱:表現を具現化する「確かな指と体」

理想の音が頭に浮かんでいても、それを実現する「道具(体)」が整っていなければ形になりません。確かな指づくりは、一朝一夕には成し遂げられず、時間をかけて形成していくものです。

一般的に、ピアノ学習者は数冊の導入本を終えた後、練習曲(エチュード)に取り組みます。ここで重要なのが、ハノンやツェルニーといった教材の役割です。

音階(スケール)やアルペジオ(和音を分散させたもの)といったテクニックは、すべての曲のパーツとなる「基本中の基本」です。

  • ハノン: 指の独立性や均一なタッチを養う。
  • ツェルニー: 音楽的な流れの中でテクニックを実践する。

これらは、単なる退屈な指の運動ではありません。自分の意思を指先まで正確に伝えるための「神経のパイプ」を太くする作業です。

この基礎トレーニングが、のちに難曲に挑戦する際の大きな武器となります。

【筆者の経験談】指導者として再発見した「練習曲」の真価

生徒さんにハノンやツェルニーを教えるようになり、あらためてこれら練習曲の持つ深い意義を痛感しています。

ハノンはすべてのテクニックの骨組みである音階やアルペジオへの入り口であり、ツェルニーは「指を動かす技術」と「音楽を形作る表現力」の両面を兼ね備えた素晴らしい教材です。

これらを正しい技術で習得できれば、おおよそどんな作品にも対応できる盤石な土台が手に入るといっても過言ではありません。

私自身、幼少期にハノンやツェルニー、モシュコフスキーといった練習曲を一通り経験しましたが、当時はただ音を並べることに必死でした

指導者として、そして演奏者として多くの知見を得た今、あらためて新たな視点でこれらの基礎に取り組み直したいと考えています。

第3の柱:演奏を支える「正しい知識」

3つ目の柱は「知識」です。これは単に音符の長さやリズムの種類を知っていることだけを指すのではありません。

  • 正しい身体の使い方: 解剖学的な視点も含め、無理のない打鍵法を知ること。
  • 曲への深い理解: 作曲家がその音に込めた意図を読み解く力。
  • 様式や楽器への理解: バロック、古典、ロマン派といった時代のスタイル(様式)や、当時の楽器の特性を知ること。

これらは感性だけに頼らず、本を読むことで理論的に補うことができる部分です。

正しい知識という「地図」があるからこそ、私たちは迷うことなく音楽を解釈し、自信を持って表現することができるのです。

基礎を固めるための具体的なアプローチ

「基礎をやり直したい」と思ったなら、まずは上記の3点のどれか一つから、意識的に取り組んでみてください。

独学で限界を感じる場合は、信頼できる先生のレッスンに通うのが最も有効です。客観的なアドバイスは、自分では気づけない身体の癖や耳の盲点を教えてくれます。

また、演奏会に足を運んで生の音に触れたり、弾ける人に上達の秘訣を聞いてみるのも、あなたの基礎知識をアップデートする大きな刺激になるでしょう。

結び:基礎はあなたを遠くまで連れて行く宝物

基礎を身につける最大のメリットは「あらゆる曲に対応できるようになること」です。

弾きたい憧れの曲があるとき、基礎をすっ飛ばして無理やり指を動かすよりも、基礎が固まっている状態で取り組むほうが、はるかに完成度が高く、習得までの時間も短縮されます

地味で退屈に思える基礎練習。しかし、その一見遠回りに見える積み重ねこそが、実はあなたを、想像もつかないような素晴らしい音楽の地平へと連れて行ってくれる宝物なのです。

ピアニストを目指す人も、趣味で長く楽しみたい人も、
ぜひ今日から「耳・体・知識」という3つの基礎を大切に育んでみてください。

その積み重ねが、あなたのピアノライフをより豊かで自由なものに変えてくれるはずです。

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筆者プロフィール:

4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。


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