♯253 【楽典の勉強法】私はこうして学んだ!黄色い本や調判定の壁を越えて「音符が言葉になる」まで


「楽典(音楽理論)を勉強したいけれど、何から手をつければいいのかわからない……」
「黄色い本を買ってみたものの、専門用語ばかりで難しそうに見えてしまう……」

ピアノを習っている方や音大を目指す方、あるいは独学で音楽を深めたい大人の方にとって、「楽典」は少し敷居が高く感じられる分野かもしれません。

音程や調号、和音、調判定……。楽典の教科書を開くと難しそうな言葉が並んでいますが、楽典は数学のように複雑なわけではありません。
割と規則にのっとっているので、一度その仕組みがわかってくれば、そこまで苦労するものではないと私は思っています。

今回は、私自身が子どもの頃から音大受験を経てどのように楽典を勉強してきたのか、ノートにひたすら書いた記憶や一番苦戦した「調判定」の話、そして楽典を学んだことで楽譜の見え方がどう変わったのかという実体験をお話しします。

筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

最初の壁は「速度記号」ノートにひたすら書き写したアナログな始まり

私は子どもの頃にヤマハ音楽教室に通っていたため、小さい時からある程度は楽典の基礎に触れていました。しかし、「楽典」と一口に言っても学ぶ内容は実に幅広いものです。

そんな中で、私が最初に「覚えられない!」とつまずいたのは、意外にも速度記号でした。

「Allegro(アレグロ)」や「Andante(アンダンテ)」といった用語がなかなか頭に入らなかった当時の私は、とてもアナログな方法を取りました。

それは、「ノートにひたすら用語を書き写す」ということです。

何度も何度もノートに手で書いていくうちに、自然と用語が頭に定着していきました。

頭の中だけで暗記しようとするのではなく、まずは手を動かして書いてみる。
これが私の楽典の原点でした。

音楽科の高校で本格スタート。「音楽の言葉」を一から知る面白さ

本格的に楽典を勉強し始めたのは、高校に入ってからです。
私は高校が音楽科だったため、通常のカリキュラムの中に楽典の授業がありました。

音程、調号、和音、近親関係調、音楽用語、倍音、教会旋法、調判定など、専門的な内容を順番に学んでいきました。

このとき、私は「普段弾いている音楽の言葉を一から知ることができる」ような気がして、とても面白いと感じたのを覚えています。

授業では、最初に倍音を五線紙に書いて覚えるところから始まりました。
一人で考えていてわからないところが出てきたときは、音楽科の友達に「これどういうこと?」と聞いたりして理解を深めていきました。

一番難しかったのは「調判定」!臨時記号との見分け方に悩んだ日々

そんなふうに面白さを感じていた楽典ですが、当時の私が特に難しいと感じたのが「調判定」でした。

メロディを見て「これが何調なのか」を当てる問題です。
当時の私にとって何が難しかったかというと、「どれがその調本来が持っている響きで、どれが一時的な臨時記号なのか」を見分けることでした。

途中で出てくるシャープやフラットが、ただの飾り(経過音など)なのか、それとも転調のサインなのか。

その見分けがなかなかつかず、頭を悩ませました。

私は割と頭でっかちな性格だったので、「なんでこの時はこうなるの?」「どうやって見分ければいいの?」と、自分なりに理由を突き詰めながら、時にはかなりアナログな工夫をして一つひとつ覚えていきました。

音大受験と「黄色い本」:細々と自習を積み重ねる

音楽大学を受験するときも、試験に向けて楽典の練習問題に取り組みました。

使っていたのは、音楽を学ぶ人なら誰もが手にとる定番の「黄色い本(音楽之友社の『楽典 理論と実習』)」です。さらに、もっと詳しく書かれた分厚い本も用意して勉強していました。志望する音楽大学の過去問も解いて本番に備えました。

ただ、私は受験期に楽典の勉強ばかりに膨大な時間を割いていたわけではありません。
高校の楽典の授業自体も1年生で終わってしまったので、そのあとは日々のピアノ練習の合間に、自分で細々と勉強を続けていました。

(聴音は人によってかなり苦労する分野だと思いますが)楽典に関しては、数学のような複雑さはそこまでありません。

しっかりと規則にのっとっているので、一度仕組みを理解してしまえば、そこまで過剰に恐れる必要はないのだと思います。

楽典を学んで何が変わった?音符は「ひとつの言葉」だった

楽典を学んだことで、私の中で一番大きかったのは「音楽の基礎(音楽がどのように作られているのか)の端くれを理解できたこと」です。

それまでの私にとって、楽譜はただ「音符が順番に並んでいるもの」のように見えていました。
しかし、楽典を知ったことで、「音符はただ適当に並べられているわけではなく、すべて意味を持った『ひとつの言葉』なんだ」ということが腑に落ちたのです。

楽譜を開いたとき、ただ単音で音を追うのではなく、「音と音との関係性」に目がいくようになりました。

そのあとに学んだ「和声(ハーモニーの進行ルール)」によって音楽への理解はさらに深まっていきましたが、その土台として「音楽の骨組み」を教えてくれたのが、間違いなく高校時代に学んだ楽典でした。

まとめ:楽典は規則にのっとった「音楽の言葉」

楽典と聞くと、難解なルールや暗記ばかりのイメージがあるかもしれません。

でも、実際に学んでみると、決して数学のように複雑怪奇なものではなく、とても理路整然としたルールで作られていることがわかります。

  • 用語が覚えられないなら、ノートにひたすら書き写してみる
  • わからないところは人に聞いたり、自分で仕組みを突き詰めてみる
  • 頭の中だけで考えず、音の並びの規則性に注目してみる

そうやって自分なりに向き合っていくうちに、いつの間にか目の前にある楽譜が「音符の羅列」から「作曲家が残した言葉」へと変わっていきます。

もし今、楽典に苦手意識を持っている方がいたら、あまり難しく捉えすぎず、「音楽の言葉をひとつ知ってみよう」という気軽な気持ちで、身近な楽譜の記号から眺めてみてくださいね!

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筆者プロフィール:

4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。


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