♯199 【中級・上級者向け】ピアノ練習の質を劇的に変える「4つの工程」と本番への備え


ピアノを長く続けている中級・上級者の方でも、

「練習しているのに、どこか演奏に深みが出ない」
「本番になると実力が発揮できない」

と悩むことは少なくありません。

初級者のうちは「音を間違えずに弾くこと」が目標になりますが、中級以上ではその先にある

・音楽の構造を理解し、根拠を持って表現すること

・どんな状況でも動じないメンタルを構築すること

が求められます。

今回は、私が実践しているピアノ練習の具体的な工程を解説します。

筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

ピアノに触れる前に「パズルの完成図」を描く

練習を始める際、いきなりピアノの前に座って音を出し始めていませんか?
実は、ここが最初の分かれ道です。

パズルを組み立てるとき、まず「完成図」を確認しますよね。ピアノも同じです。

まずは楽譜を目で追いながら、いくつかの音源を聴き、これから取り組む曲がどんな音楽なのか、全体のイメージを掴むことから始めましょう

  • 曲の構成はどうなっているか?
  • どんな音色がふさわしいか?

自分なりの「完成図」を頭の中に描いてから音を組み合わせていくことで、練習の迷いがなくなります。

自分なりの表現や工夫を加えるのは、この「基本の形」が見えてからの作業です。

「譜読み」とはアナリーゼ(分析)である

イメージが掴めたら、本番の少なくとも4ヶ月前には譜読みを開始しましょう。

中級以上の譜読みは、単にドレミを鳴らすことではありません。
「譜読み=アナリーゼ(作品分析)」であるべきです。

  • なぜここにこの音が使われているのか?
  • この和音の響きが持つ意味は何か?
  • 形式や転調はどうなっているか?

ただ音を並べるだけでは、せっかく描いたイメージも形になりません。

あとから分析し直すのは非常に時間がかかります。

作品に触れた瞬間から、指を動かしつつ、常に頭で構造を理解する。

この同時進行が、演奏の説得力を生みます。

「根拠」のある表現を追求する

指に音が馴染み、少し余裕が出てきたら、いよいよ音楽の流れを磨く作業に入ります。

ここで大切なのは、独りよがりな演奏」にならないことです。

「私がこう弾きたいから」という感覚だけで弾くのではなく、「作曲家がこういう意図を持ってこの音を置いたはずだ」という客観的な根拠を持ってください。

  • フレーズの頂点はどこか?
  • その音はキラキラしているべきか、それとも重たい音か?
  • 時代の様式に合っているか?

そのためには、作曲家の生涯や、その作品が生まれた時代の背景を知ることが不可欠です。

今は素晴らしい解説本がたくさん出版されています。

私が作曲家や作品の背景を学ぶ際に、よく手に取っているのがこちらのシリーズです。とても分かりやすく充実した内容になっており、おすすめです。

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「これでいいや」と妥協した瞬間に、成長は止まります。
常に「もっと良い音、もっと深い表現はないか」と自分を疑いながら、フレーズごとに細かく試行錯誤を繰り返しましょう。

本番1ヶ月前からの「過酷なシミュレーション」とメンタル強化

本番1ヶ月前からは、練習の質をガラリと変えます。

私の恩師は、

100%用意して、本番で60%出せたら良い方よ。

とおっしゃっていました。

音楽は瞬間芸術です。テストの答案用紙のように消しゴムで消すことはできません。一度失敗したら取り消せないからこそ、何が起きても動じない強い心が必要になります。

そのメンタルを作るのは、根性ではなく「最悪の状況を想定した練習」です。

  • 環境を変える: 譜面台を倒す、照明を変える、誰かに聴いてもらう。
  • 過酷な条件: 冬の寒い朝一番、手がかじかんだ状態でウォーミングアップなしにいきなり通して弾いてみる。

こうした「いつもの練習とは違う空間」で弾く経験を積み上げることで、本番で何が起きても「あの時よりはマシだ」と思えるようになります。

どんな状況にも動じない強い心は、こうした徹底した準備からしか生まれません。

まとめ:瞬間芸術にすべてを捧げるということ

ピアノの練習プロセスとは、単に指を動かす時間を増やすことではなく、聴く・分析する・磨く・想定する」という思考の積み重ねです。

「100%の準備をして、ようやく60%が届く」という厳しい世界だからこそ、私たちは一音一音に根拠を持ち、真摯に向き合わなければなりません。

納得のいく演奏への道は遠く、終わりがありません。
しかし、その徹底した準備と、それによって養われた強いメンタルが合わさったとき、自分にしか出せない音楽が生まれるのだと私は信じています。

メンタル面の具体的な強化法については、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。ご参考ください。[♯11 本番で崩れない!メンタル強化法10選]

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筆者プロフィール:

4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。


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