♯178 「ピアノ、やめてもいい?」悩んだ時に立ち止まって考えたい、後悔しないための判断基準


「あんなに楽しく弾いていたのに、今はピアノの前に座るのが苦痛……」
「高い月謝を払っているのに、練習しない子を見てイライラしてしまう。もう辞めた方がいいのかな?」

ピアノを続けていれば、一度や二度は必ず「辞めたい」という壁にぶつかります。
そんな時、無理に自分を奮い立たせたり、逆に感情に任せてバッサリ辞めてしまったりする前に、少しだけ立ち止まって考えてみませんか?

ピアノは人生を豊かにしてくれる素晴らしいものですが、決して「無理にやらなきゃいけない修行」ではありません。

今回は、辞めるべきか続けるべきか迷った時に、後悔しないための「心の整理術」についてお話しします。

筆者プロフィール:
4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。

まずは「辞めたい理由」を言葉にしてみる

「なんとなく嫌だ」というモヤモヤした状態では、正しい判断はできません。
まずは、辞めたい原因がどこにあるのかを「言語化」してみましょう。

そして、それは「今すぐ変えられること」なのか「変えられないこと」なのかを切り分けて考えます。

  • 変えられること(環境のミスマッチ):
    「先生が怖くて相談できない」「今の練習曲がどうしても好きになれない」「練習方法が分からなくて進歩が止まっている」
    ……これらは、先生を変えたり、曲目を変えたり、練習のやり方を工夫したりすることで解決できる問題です。
    環境を変えれば、またピアノが楽しくなる可能性は大いにあります。
  • 変えられないこと(根本的な意欲):
    「ピアノの音自体に興味が持てなくなった」「音楽に向き合うこと自体が苦痛」
    ……もし原因がこちらにあるのなら、少し深刻かもしれません。

まずは、今の苦しみが「ピアノそのもの」のせいなのか、それとも「周りの環境」のせいなのかを見極めることが、第一歩となります。

「最初の気持ち」を一度だけ思い出してほしい

ピアノを辞めることは、決して悪いことではありません。
しかし、私が大切にしたいのは、あなたが(あるいはあなたのお子さんが)ピアノに出会って、やってみたいと思った最初の気持ちです。

初めて鍵盤を叩いた時の音の響き、憧れの曲を弾けるようになりたいと胸を躍らせた瞬間。

その純粋な好奇心は、とても尊いものです。

ピアノは習得するまでに時間がかかり、時にはつらい練習も伴います。でも、その「つらさ」の先にしか味わえない喜びがあるのも事実です。

「今のつらさ」が「最初のワクワク」を完全に消し去ってしまったのか、それとも一時的に隠れているだけなのか。

一度静かに自分の心に問いかけててください。

ピアノを「辞めた方がいい人」のたった一つの特徴

私が考える「ピアノを辞めてもいい、むしろ辞めた方がいい人」の特徴は、意外かもしれませんがピアノ以外に、本気でやりたいこと(夢中になっていること)がある人です。

私たちに与えられた時間は、大人であっても子供であっても、等しく1日24時間しかありません。その貴重な時間を何に使うかは、人生において最も重要な選択です。

もし、ピアノに向かう時間を削ってでも「これに打ち込みたい!」という情熱が他にあるのなら、そちらに全力を注ぐべきです。
見栄や世間体、あるいは「親の顔色」を伺ってピアノを続けるのは、お金も時間も、そして何よりあなたの心がもったいない。

「本当にやりたいことに時間をかける」。

その決断は、逃げではなく、自分の人生を主体的に生きるための前向きな選択です。

「やめ癖」と「粘り強さ」の境界線

ここで考えなければならないのが、「続けることの大切さ」とのバランスです。

何でもかんでも「壁にぶつかったから」「飽きたから」とすぐに投げ出してしまうと、いわゆる「やめ癖」がついてしまう懸念があります。
困難に立ち向かい、それを乗り越えた時の達成感を知らずに育つのは、その後の人生においてももったいないことです。

大切なのは、「一時の感情で決めていないか」という点です。

  • 今日、先生に怒られたから辞めたい。
  • この1小節が弾けないから辞めたい。

こうした「点」の感情で決めるのではなく、数週間、数ヶ月単位で考えてもやはり情熱が戻らないのかを確認してください。

本気でやりたいことを見つけたのなら、そこには粘り強く取り組むべきです。

ピアノを辞めるという決断が、「困難からの逃避」なのか「新しい情熱への移行」なのかを、自分自身で見極める必要があります。

ピアノは逃げない。いつでも戻ってきていい

「辞める=一生の別れ」と重く捉えすぎる必要はありません。

一度ピアノから離れて、数年後に「やっぱりまた弾きたい」と思って戻ってくる方はたくさんいます。大人になってから再開し、子供の頃よりもずっと深く音楽を楽しんでいる方も大勢いらっしゃいます。

「やめたい」と思ったら、やめてもいい。
一度お休みして、心をリセットするのだって全然ありです。

ただ、辞める前に「なぜ辞めたいのか」「次に何をしたいのか」をよく考えて、自分の中で納得感を持って決断してほしいのです。

納得して出した答えなら、それはあなたにとっての正解になります

まとめ:あなたの24時間を、あなたの心のために

ピアノは、あなたの人生を彩るためのツールであって、あなたを縛り付ける鎖ではありません

もし今、暗闇の中にいるのなら、まずはプロである先生に正直な気持ちを話してみたり、環境を変えたりしてみてください。
それでも「今は他にやりたいことがある」と心が告げているのなら、勇気を持って新しい道へ進むのも素晴らしい選択です。

本気になったものに対しては、どんなことがあっても粘り強く取り組む。

その情熱を注ぐ先が、ピアノであっても、他の何かであっても、私はあなたの決断を応援しています。

もし、一人で答えが出ないときは、いつでもご相談ください。あなたの「音楽との距離感」を一緒に見つけるお手伝いをさせていただきます。

演奏会情報・無料個別相談はLINE公式アカウントから

演奏会への出演情報のご案内、ピアノや練習に関する個別のご相談はLINE公式アカウントでお知らせ・やり取りします。

ご相談は1対1のやり取りとなり、他の方に内容がみられることはありません。
配信は必要なときのみ行っていますので、お気軽にご登録ください。

筆者プロフィール:

4歳よりピアノを始め、埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京音大ピアノ演奏家コース、同大学院修士課程を修了。コンクール受賞歴多数。奨学金授与、短期留学を経験し、現在は演奏活動と並行し累積50名以上の指導に携わる。現役奏者の視点から、ピアノ上達のヒントや本番に強いメンタル術を発信中。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA