
「ピアノの練習って、毎日何時間もしなきゃいけないの?」
「仕事や家事で忙しくて、10分取るのがやっと……」
ピアノを習い始めたばかりの方や、お子さんにピアノを習わせている親御さんからよく聞かれるのが「練習時間」の悩みです。
結論からお伝えしましょう。
初心者のうちは、練習の「長さ」にこだわる必要はありません。
今回は、プロピアニストの練習事情や私自身の経験も踏まえながら、忙しい現代人が着実に上達するための「理想的な練習の考え方」について解説します。
筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。
理想は30分、忙しい日は10分でも「毎日」が最強な理由

ピアノの習得において、最も大切なのは「1回の練習時間」ではなく
「どれだけ間隔を空けずに鍵盤に触れるか」という頻度です。
毎日の10分は、週1回の3時間に勝る
理想を言えば、子供や忙しい大人の方は、1日30分練習できれば十分すぎるほどです。しかし、どうしても時間が取れない日は、たった10分だけでも構いません。
人間の脳や指の筋肉は、一度に詰め込むよりも、短時間でも毎日繰り返すことで記憶が定着するようにできています。
1週間全く弾かずに、レッスンの前日だけ3時間練習しても、指の柔軟性や感覚を取り戻すだけで時間が終わってしまいます。
本当に忙しい時は「2日に1回」でもOK
「毎日やらなきゃ」というプレッシャーでピアノが嫌いになっては本末転倒です。
どうしても無理な時は、2日に1回のペースでも良いので「細く長く」続けることを目標にしましょう。
まずは「ピアノを辞めないこと」が、最大の上達のコツです。
プロの練習時間と、レッスンに間に合わせるための基準

「上達するには何時間必要か」を知るために、一つの目安としてプロや経験者の例を見てみましょう。
プロピアニストの場合
プロのピアニストは、演奏活動以外にも指導や他の仕事を抱えていることが多いですが、それでも練習できる日は1日に5~8時間ほど練習に費やすことも珍しくありません。
私の場合、多忙な時期であっても、日々のスケジュールの中からなんとか毎日2時間は捻出したいと考え、取り組んでいます。
それだけピアノの技術を維持し、深めるには膨大な時間が必要だからです。
私自身の経験(小学生時代)
私自身、小学生の頃は毎日1時間ほど練習していました。
当時は弾かなければならない曲数も多く、それくらい練習しないと週1回の個人レッスンまでに曲を仕上げることができなかったからです。
もちろん、これは一つの目安です。
大切なのは「先生に言われた宿題を、次のレッスンまでに納得できる形にするには、自分にはどれくらいの時間が必要か」を逆算することにあります。
「長く弾けばいい」は間違い!練習の「質」を見直そう

ここで注意したいのは、練習時間の長さに満足してはいけないということです。
「今日は2時間も練習したぞ!」と思っていても、
その中身が「何も考えずに最初から最後まで繰り返し弾いただけ」だとしたら、それは効率的な練習とは言えません。
ダラダラと3時間弾くよりも、極限まで集中した20分の方が、はるかに上達を早めます。
集中力が切れた状態で弾き続けると、変なクセがついたり、間違いを指に覚え込ませてしまったりと、かえって逆効果になることさえあるのです。
初心者が意識すべき「質の高い練習」3ステップ

では、具体的にどのような練習をすれば「質」が上がるのでしょうか。
以下の3つのステップを意識してみてください。
ステップ1:まずは「正確に弾ける」ところから
最初は音符を読み、正しい指番号で、リズム通りに弾くことに集中します。
この段階では、時間を区切って「今日はこの4小節だけ完璧にする」と目標を絞るのが効果的です。
ステップ2:細かい表記(テンポ・強弱)に目を向ける
ある程度スラスラ弾けるようになったら、楽譜に書かれた記号を丁寧に読み解きましょう。
- フォルテ(強く)やピアノ(弱く)はどう変化しているか?
- リタルダンド(だんだん遅く)はどこから始まっているか?
こうした細部を意識するだけで、単なる作業が「音楽」へと変わります。
ステップ3:「なぜそこに表記があるのか」を考える
余裕が出てきたら、さらに一歩踏み込んでみてください。
「なぜここで急に弱くなる指示があるんだろう?」
「この盛り上がりの先には何があるのかな?」
作曲家の意図や曲の背景を想像することで、あなたの演奏に説得力と深みが生まれます。
これは、机の上で楽譜を眺めるだけでもできる立派な「練習」です。
まとめ:ピアノは「心と時間のゆとり」に合わせて楽しむもの

ピアノの上達に近道はありませんが、効率的な道はあります。
- 練習時間は短くてもいい(10分〜30分)。
- 「毎日」または「2日に1回」の継続を最優先する。
- 時間の長さよりも「集中力」と「楽譜の理解」を重視する。
練習時間が取れないことを自分に責める必要はありません。
忙しい日々の中で、ピアノに向き合うその数十分を大切に、音楽を深める過程を楽しんでください。
その積み重ねが、いつか必ず美しい音色となって返ってきます。
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筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

