♯157 「憧れのあの曲、私にも弾けますか?」理想と現実のギャップを埋めて最短で目標曲に到達する方法


「この曲を弾けるようになるには、どうすればいいですか?」
「この曲、初心者には難しいでしょうか?」

ピアノを始めたばかりの方や、独学で頑張っている方からよくいただく質問です。

弾きたい曲があるというのは素晴らしいことです。
しかし、正直にお伝えすると、難易度が気になっている段階では、その曲は今の実力よりもかなり高いレベルにあることがほとんどです。

では、諦めるしかないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。
アプローチの仕方を変えれば、今のあなたでも「憧れの曲」に手を届かせることは可能です。

今回は、曲の難易度を見極めるポイントと、着実に憧れに近づくための2つのルートをご紹介します。

筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

その曲は「難しい」のか? 難易度を決める2つの正体

ピアノの曲において、難しさを決める要素は大きく分けて2つあります
ここを理解すると、自分に合った楽譜を選びやすくなります。

① 「調性(キー)」:♯や♭の数

楽譜の左端、ト音記号やヘ音記号の横に付いている「♯(シャープ)」や「♭(フラット)」の記号を「調号」と呼びます。
この数が多いほど、黒鍵を弾く回数が増え、指の運びが複雑になります。

初心者に最も優しいのは、調号が何もついていない「ハ長調(Cメジャー)」です。

すべて白い鍵盤(白鍵)を基本に弾けるため、まずはハ長調にアレンジされた楽譜を探すのが、憧れの曲への近道です。

② 「編曲(アレンジ)」:音の数と動き

クラシックの名曲を原典版(作曲者が書いたそのままの楽譜)で弾く場合、一音一音を完璧に再現する必要があり、ハードルは非常に高いです。

一方でポップスなどの場合、基本は「メロディー」と「コード(和音)」で構成されています。
右手がメロディー、左手が単音(一つの音)だけのシンプルな編曲であれば、初心者の方でも練習次第で形にすることができます

多少音を省いても「それっぽく」聞こえるのがポップスの良いところです。

「カッコよく弾きたい」なら、あえて遠回りをしよう

「初心者用のアレンジじゃなくて、本物と同じようにカッコよく弾きたい!」

そう思う方も多いでしょう。その場合は、急がば回れで「基礎」から積み上げることを強くおすすめします

最短で上達するコツは、「今の自分にとって少し簡単だと思える曲」をたくさん弾くことです。

一曲の難曲に数ヶ月、一年と時間をかけるよりも、簡単な曲を10曲、20曲とこなす方が、譜読みの力も指のテクニックも飛躍的に向上します

少しずつ難易度の階段を登っていくことで、結果として数年後には「本物に近いバージョン」を短期間でマスターできる実力が身についています。

「とんでもない時間」を覚悟して挑むショートカット

もし、「基礎なんていいから、とにかく今すぐこの曲を本物に近い形で弾きたいんだ!」というのであれば、もう一つの道があります。

それは、YouTubeなどの動画を参考に、指の動きを丸暗記する方法です。

最近は、鍵盤が光るチュートリアル動画もたくさんあります。
楽譜が読めなくても、動画を止めては弾き、止めては弾き……を繰り返せば、いつかは最後まで弾けるようになるでしょう。

ただし、この方法は「とんでもなく時間がかかる」ことを覚悟してください。

基礎がない状態で難曲に挑むのは、地図を持たずに険しい山を登るようなものです。

その一曲は弾けるようになるかもしれませんが、他の曲に応用が利かないため、次の曲でもまた同じ苦労をすることになります。

実は、こうした「ショートカット」を求めて、私の元へ相談に来られた方がいらっしゃいました。

【筆者の経験談】「魔法のアドバイス」を求めていた、ある日の体験レッスン

ピアノ講師として多くの方とお会いする中で、大人の生徒さんが
「いつかこの曲を弾きたい!」と持ってこられる楽譜は、正直に申し上げて、
その時の実力よりはるかに高いハードルであることがほとんどです。

もちろん、私としても「今すぐにでも弾かせてあげたい」という気持ちはやまやまなのですが、残念ながらピアノの世界に魔法のような近道は存在しません

以前、ある若い大人の生徒さんの体験レッスンをした時のことです。

その方は独学で練習していた、非常にリズムの複雑な難曲を持ってこられ、
「ここのフレーズがどうしても上手く弾けない。どうすればいいですか?」と質問されました。

しかし、実際に拝見すると、手の形にはかなり強い癖があり、リズムの解釈も根本から違っていました。

部分的な修正だけで解決できる状態ではなく、基礎からじっくり見直す必要があることをお伝えしたのですが、その一回のレッスンではなかなか納得していただけませんでした。

おそらくその方は、一瞬で悩みが解決する「魔法の一言」を期待されていたのだと思います。
私の伝え方の力不足もあったかもしれませんが、残念ながらその方は入会には至りませんでした。

この経験から私が強く感じたのは、

「憧れの曲」を高く掲げるのは素晴らしいことですが、それと同時に「今の自分でも手が届く、小さな憧れの曲」をたくさん作ってほしい

ということです。

一段ずつ、着実に階段を登っていく。

その過程で出会う「少し簡単な曲」たちを愛して練習することが、結局はあの日夢見た難曲を、魔法ではなく自分の実力で弾きこなす唯一の方法なのです。

憧れの曲に「今すぐ」挑戦するためのヒント

今の自分でも弾ける「憧れの曲」の楽譜を見つけるには、以下のポイントをチェックしてみてください

  • ハ長調(調号なし)に書き換えられているか
  • 左手の音数が少なく、リズムがシンプル
  • 自分のレベルに合わせた「初級」「入門」などの表記があるか

具体的な「楽譜の探し方」や「おすすめの楽譜サイト」については、また後日、別の記事で詳しくご紹介しますね。

まとめ:目標があるからピアノは楽しい!

「今の自分には難しすぎるかも……」と不安になる必要はありません。

・ポップスなら音を省いて弾いてみる
・まずはハ長調のアレンジから始めてみる。

そうやって「今できる形」で音楽を楽しむことが、上達への一番のサプリメントになります。

どうしても本物通りに弾きたいのなら、基礎練習を楽しみながら、少しずつ難易度を上げていきましょう
その積み重ねの先に、あなたが自由にピアノを操り、憧れの曲を堂々と奏でる日が必ず待っています。

一人で「どう練習すればいいか」悩んだときは、プロの力を借りるのも一つの手です。無理のないプランで、あなたの「弾きたい!」を形にしていきましょう。

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筆者プロフィール:

4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。


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