
「右手のト音記号はスラスラ読めるのに、
左手のヘ音記号になった途端、指が止まってしまう……」
ピアノを始めたばかりの方や、久しぶりに再開した大人の方から一番多く聞く悩みが、この「ヘ音記号への苦手意識」です。
「ト音記号よりいくつ分ズレて読むんだっけ?」
「えーと、下から数えて……」と苦労していませんか?
実は、ヘ音記号を読むのに、そんな苦労は一切いりません。ちょっとした「コツ」をつかむだけで、驚くほど一瞬で読めるようになるのです。
今回は、私が後になって気づいた「もっと早く知りたかった!ヘ音記号の正体」と、効率的な読み方のステップを詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの左手はもっと自由に動くようになっているはずです。
筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。
「ヘ音記号」の正体を知れば、一瞬で「ファ」が見つかる

まず、多くの人が見落としがちな基本からお話しします。
なぜ「ヘ音記号」という名前なのか、考えたことはありますか?
日本の音名(いろは……)では、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を「ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ」と呼びます。
つまり、「ヘ」とは「ファ」のことなんです。
ヘ音記号の形をよく見てください。書き始めにある「大きな黒玉」の部分。
そして、その後に続く2つの点。この黒玉が乗っているライン(第4線)こそが「ファ」の音なのです。

「ここがファですよ」と教えてくれている記号だから、ヘ音記号。
これを知っているだけで、基準となる「ファ」の位置が瞬時に特定できます。
私は長くピアノを弾いてきて、後からこの事実を知ったとき、「先に知りたかった!」と衝撃を受けました。
これを意識するだけで、譜読みのスピードは劇的に上がります。
基準になる「3つのド」を視覚的に焼き付ける

「ファ」の位置がわかったら、次は音楽の基本である「ド」の位置を覚えましょう。
全部を覚えようとするのではなく、まずは基準となる3つのポイントだけに絞るのがコツです。
- 真ん中のド(加線を使うド)
ト音記号の下にも出てくる、おなじみの「ド」です。ヘ音記号では5の線の上、一本線を加えたところに玉が突き刺さる形になります。 - 1オクターブ下のド(2の間にあるド)
ヘ音記号の5線譜のなかで、下から2番目の「間(部屋)」にあるドです。これは視覚的に非常に覚えやすい場所です。 - 2オクターブ下のド(はみ出したド)
さらに低い、5線譜の下に突き抜けた場所にあるドです。1の線の下、二本線を加えたところに玉が突き刺さる形になります。

この3つの「ド」を、写真のようにパッと目で見て判断できるようにします。
「数える」のではなく「形として覚える」のが、苦労せずに読むための最大の秘訣です。
効率を最大化する「線」と「間」の呪文
「ファ」と「ド」がわかれば、あとはその隣を数えれば全ての音がわかります。でも、さらに効率を上げたい欲張りなあなたには、この「呪文」をオススメします。
音符には、線の上に乗っている「線の音」と、線の間に入っている「間の音」があります。これをセットで覚えてしまうのです。
- 線の音:ソ・シ・レ・ファ・ラ・ド
- 間の音:ファ・ラ・ド・ミ・ソ・シ


これを口ずさみながら楽譜を見ると、不思議と音符が「塊」で見えてきます。
一つひとつ数える作業から卒業し、パターンで認識できるようになると、音を読む能力も飛躍的に向上します。
ツールを使って「脳」より「目」を鍛える

もし、どうしても理屈だけでは覚えにくいと感じるなら、文明の利器を頼りましょう。おすすめは「音符カード」です。
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1日3分、ゲーム感覚でパッパッとめくって答える練習をするだけで、脳がヘ音記号の形に慣れていきます。
ヘ音記号を読むのに苦労なんて必要ありません。
大事なのは「頑張って覚える」ことではなく、「触れる回数を増やして慣れる」ことなのです。
まとめ:全部一気に覚えなくていい

私は幸いにも、幼少期からたくさんの楽譜に触れる機会があったため、ヘ音記号に苦労した記憶はありません。
しかし、大人になってから「ヘ音記号の黒玉がファだから、ヘ音記号なんだ」という事実に気づいたとき、もっと早くこれを知っていれば、もっと楽に教えられたのに……と痛感しました。
ヘ音記号は決して難しい暗号ではありません。
- 「ヘ」は「ファ」であること
- 基準になる「ド」の位置を3つだけ覚えること
この2点さえ押さえれば、あとは練習の中で自然と覚えられる音符が増えていきます。
最初から完璧を目指さなくて大丈夫。
今日から楽譜を開いたとき、まずはあの「大きな黒玉(ファ)」を探すところから始めてみてください。
きっと、昨日よりもヘ音記号の譜読みが楽しくなっているはずです。

筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。
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