
「うちの子、ピアノを習わせたいけれど向いているのかしら?」
「せっかく高い月謝を払っても、すぐに辞めてしまったらもったいない……」
お子さんの習い事としてピアノを検討する際、多くの親御さんが「向き・不向き」を気にされます。
しかし、ピアノ講師の視点や上達する子の共通点を見ていくと、世間一般で思われている「才能(音感など)」とは少し違うところに、適性の本質があることがわかります。
もちろん、最初から完璧な子はいません。でも、もしお子さんにこれから挙げるような特徴が少しでも見られるなら、ピアノは一生の宝物になる可能性があります。
今回は、ピアノに向いている子の特徴と、逆に「実は気にしなくてもいい要素」について詳しく解説します。
筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。
そもそも「音楽」そのものが好きである

ピアノに向いている子の最大の条件は、ピアノという楽器以前に「音楽が好き」であることです。
- テレビから流れる曲に合わせて体を揺らしている
- アニメの主題歌をよく口ずさんでいる
- おもちゃの楽器や、空き箱を叩いて音を出すのが好き
このように、音に対してポジティブな反応を示す子は、ピアノの上達も早いです。
ピアノはあくまで「音楽を表現するための道具」の一つ。歌でもダンスでも、他の楽器でも構いません。
「自分で音を奏でる喜び」を知っている子は、練習が少し大変な時期に差し掛かっても、「弾けたら楽しい!」という原動力を自分の中に持っています。
できないことがあっても、すぐに投げ出さない

ピアノの練習は「できないことを、できるようにする作業」の連続です。
昨日まで弾けなかったフレーズが、今日練習したからといってすぐに弾けるようになるとは限りません。
ここで、一度間違えただけで「もうやだ!」と放り出してしまう子は、少し苦労するかもしれません。
逆に、
「悔しいけど、もう一回やってみる」
「どうして間違えちゃうのかな?」
と、自分なりに踏みとどまれる子は、ピアノに向いています。
ただし、最初から粘り強い子ばかりではありません。
小さな「できた!」という成功体験を積み重ねることで、少しずつ諦めない心が育っていく子もたくさんいます。
今の時点で多少飽きっぽくても、その壁を乗り越える喜びをピアノを通じて学ぶことができるのです。
「コツコツとした作業」が苦ではない

ピアノは魔法のように一晩で上手くなるものではありません。
毎日10分、15分という短い時間であっても、鍵盤に触れる「積み重ね」がすべてです。
派手なパフォーマンスよりも、地道な反復練習を楽しめる、あるいはルーティンとして受け入れられる子は非常に強いです。
「歯磨きをするように、当たり前にピアノの前に座る」
これができる子は、特別な才能がなくても必ず上達します。
こうした「継続する力」は、将来勉強やスポーツの場面でも必ず役に立つ一生モノのスキルになります。
人のアドバイスを「素直」に聞き入れられる

ピアノの上達において、意外と重要なのが「素直さ」です。
先生から「ここはもう少し優しく弾いてみて」「指の形をこうしてみよう」と言われたときに、それをスッと飲み込んで試してみる子は、吸収スピードが格段に早いです。
これはピアノに限った話ではありませんが、自己流に固執せず、まずは教わった通りにやってみる。
その素直な姿勢がある子は、基礎がしっかり身につくため、後から大きく伸びていきます。
【番外編】読書をじっくり楽しめる

意外かもしれませんが、一冊の本をじっくり読める子はピアノに向いている傾向があります。
楽譜を読む作業は、記号を読み取り、それを音に変換し、さらに音楽的な意味を理解するという、非常に高度な読解力を必要とします。
物語の世界に没頭できる集中力と、ページをめくりながら構成を理解していく力は、楽譜を読み解く力と深く通じているのです。
【コラム】「向き・不向き」は後からついてくる。私の実体験からお伝えしたいこと

ここまで「向いている子の特徴」を挙げましたが、実は私自身は「どうしてもピアノを習いたい!」と自分から言い出したわけではありませんでした。
先に始めていた兄の影響で、なんとなく習い始めたのがきっかけです。
今となっては音楽もピアノも大好きですが、始めたばかりの頃は、自分が音楽を好きかどうかも分かっていなかったと思います。
それでも長く続けられたのは、
私の「ひとつのことをやり始めたら、とことんやる」という性格に合っていたからかもしれません。
あるいは、ピアノという習い事によって、その性格が養われたとも言えます。どちらが先かは分かりません。
よく「ピアノを習うと頭が良くなる」と言われますが、私が実感しているのはそれだけではありません。
ピアノは、集中力や忍耐力、そして目に見えない世界を形にする想像力を高めてくれる習い事です。
最初から「向いている要素」を持っていなくても、ピアノを通じてそれらを身につけていくことができるのです。
逆に「気にしなくていいこと」3選

「ピアノに向いている子」を考えるとき、多くの親御さんが誤解しがちな「実は重要ではない項目」があります。
以下のことで悩んでいるなら、心配はいりません。
① 現時点で「音感」があるかないか

「うちの子、音痴かも……」と心配される方がいますが、全く問題ありません。
音感(特に絶対音感)は6歳くらいまでの適切な教育でいくらでも育ちます。
最初から備わっている必要はなく、ピアノを習う過程で自然と身についていくものです。
② 飽きっぽい性格である

「うちの子は何をやっても三日坊主だから」という理由でピアノを諦めるのは早計です。それは、まだ「本気で夢中になれるもの」に出会っていないだけかもしれません。
ピアノの多彩な音色や、自分の指から音が生まれる感覚が、お子さんの好奇心に火をつける可能性は十分にあります。
③ 落ち着きがなく、じっとしていられない

ピアノはじっと座って弾くものですが、活発すぎる子が向いていないわけではありません。
むしろ、ピアノを弾くという作業は、多方面に意識を向ける高度な集中力を養います。
レッスンを通じて、自分のエネルギーをコントロールする方法を学んでいく子も多いのです。
まとめ:向いているかどうかは、始めてから決まる

ピアノに向いている子の特徴をまとめると、
「音楽が好きで、コツコツと素直に取り組める子」と言えます。
しかし、これらすべてを最初から持っている子供はいません。
ピアノを習うことで、集中力がつき、粘り強さが育ち、素直に学ぶ姿勢が身についていくのです。
「向いていないからやらせない」のではなく、
「ピアノを通じて、こうした資質を育ててあげよう」という気持ちで始めてみてはいかがでしょうか。
もしお子さんが、音楽を楽しそうに聴いているなら、それだけでピアノを始める資格は十分にあります。
まずは体験レッスンで、お子さんが鍵盤を叩いたときの表情を見てあげてください。そのキラキラした瞳こそが、何よりの「適性」の証拠なのですから。
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筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

