
「新しい曲を始めたけれど、譜読みが全然進まない…」
「1曲仕上げるのに3ヶ月もかかってしまい、次の曲に行く頃には前の曲を忘れている」
ピアノを練習していると、自分の譜読みの遅さに絶望してしまう瞬間がありますよね。特に独学の方や初心者の方は「自分には才能がないのかも」と不安になることもあるでしょう。
しかし、断言します。譜読みが遅いのは才能のせいではなく、単に「譜読みの筋肉」を鍛える方法を知らないだけです。
この記事では、譜読みの遅さに悩む方が挫折を防ぎ、楽しみながら上達するための「逆転の発想」をご紹介します。数ヶ月かかっていた譜読みが数週間に、そして数日へと短縮されるヒントがここにあります。
筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。
譜読みが遅いのは「当たり前」。まずは自分を許そう

まず、大前提として知っておいてほしいのは、「譜読みは誰にとっても時間がかかる作業である」ということです。
楽譜を読むという行為は、目に飛び込んできた記号を脳内で音に変換し、それを指の動きに指令出し、さらに出た音を耳で確認するという、非常に高度な情報処理です。
初心者の方が、この複雑な回路をスムーズに動かせないのは至極当然のことなのです。
「自分は遅い」と責める必要はありません。
まずは「今は時間がかかって当たり前」と自分を許してあげることが、ピアノを長く楽しむための第一歩です。
「背伸び」をやめて、圧倒的な成功体験を積む

譜読みが遅い人の多くは、自分の実力に対して「難しすぎる曲」を選んでしまっています。
憧れの曲を弾きたい気持ちはわかりますが、1曲に数ヶ月かかる状態が続くと、脳は「ピアノ=苦行」と学習してしまい、モチベーションが続きません。
そこでおすすめなのが、「今の自分ならちょっと簡単かな?」と思える、短くてシンプルな曲にたくさん取り組むことです。
- 1曲を3ヶ月かけて仕上げるよりも、1週間に1曲仕上がる曲を12曲弾く。
この「量」の経験が、あなたの譜読みスピードを劇的に変えます。
短い曲をたくさんこなすと、楽譜によく出てくる「音のパターン」が脳に蓄積されます。すると、次に新しい楽譜を見たとき「あ、これはあの曲で出てきた形だ」と直感的に理解できるようになります。これが譜読みが速くなる正体です。
まずは「自分にもできた!」という成功体験を積み上げましょう。
【筆者の経験談】「量」をこなすことでしか得られない譜読みの筋肉

私は4歳の時からピアノを習っており、ピアノ歴はかなり長くなりました。
そのため「長くやっているから譜読みが早いんでしょう?」と思われるかもしれません。もちろん、経験年数による慣れは否定しません。
ですが、振り返ってみて確信していることがあります。それは、私の譜読みが早くなったのは、決して「一曲にじっくり取り組んできたから」ではなく、
「簡単な曲を段階的に、圧倒的な数こなしてきたから」だということです。
譜読みを早くするために私がおすすめしたいのは、いきなりレベルを上げるのではなく、今の実力と同じくらいの難易度でいろいろな曲を弾くこと。
そのためには、『バイエル』やギロックの初級用のものなど一冊の曲集をまるごと最後までやってみるのが非常に効果的です。
『バイエル併用曲集1』Amazonで商品を見る→https://amzn.to/4tILi2k
バイエル併用曲集、1~5まであります。ご自身のレベルにあったものから取り組みましょう。
それとは別にバイエル教本も。教本の方は曲ではなく、手を動かす練習曲みたいなものです。
『はじめてのギロック』Amazonで商品を見る→https://amzn.to/3MvS0Iw
本当に初心者のための本です。楽しい曲がたくさん入っています。
一見、簡単すぎてつまらないと感じるかもしれません。ですが、譜読みのスピードは「こなした量」に比例します。
特に忙しい社会人の方こそ、短い曲をたくさん仕上げる方が効率も良く、「弾けた!」という成功体験がモチベーションに直結します。
まずは「自分にもできた!」という感覚を脳に覚え込ませましょう。
片手練習の落とし穴。「両手で弾く」のは別物と考える

譜読みをするとき、まず片手ずつ完璧にしてから合わせる、という方法を教わった方は多いはずです。
もちろん、複雑な曲では片手練習が必要な場面もありますが、いつまでも片手練習に頼りすぎるのは、実は譜読みのスピードアップを阻む原因になります。
なぜなら、「片手で弾けること」と「両手で弾くこと」は、脳にとって全く別の作業だからです。
例えば、英単語の「I(私は)」と「Apple(りんご)」を個別に知っていても、「I am eating an apple.(私はりんごを食べています)」という文章をスムーズに話すには、文章としての練習が必要ですよね。
ピアノも同じです。右手の動きと左手の動きをバラバラに覚えても、それらを合体させる作業には、また別の大きなエネルギーが必要になります。
「片手なら弾けるのに、両手になると全く弾けない」という悩みは、単語は知っているけれど文章が喋れない状態と同じなのです。
いきなり両手練習が「究極の時短」になる理由

譜読みの段階から、極限までテンポを落として「いきなり両手」で弾き始める練習を取り入れてみましょう。
最初は、1小節を弾くのに1分かかるくらいゆっくりでも構いません。いきなり両手で練習するメリットは以下の通りです。
- 「脳の回路」が一度で済む: 右・左・両手と3回練習する手間が、1回に凝縮されます。
- 音の重なり(和声)を体感できる: 左右の音が重なった時の響きを最初から覚えるので、記憶の定着が早まります。
- リズムの構造が理解しやすい: 両手のタイミングを同時に把握することで、リズムの混乱を防げます。
もちろん、最初は指がもどかしく感じるでしょう。しかし、この「両手で処理する癖」がつくようになると、譜読みの効率は数倍に跳ね上がります。
まとめ:譜読みのスピードは「経験値」で決まる

譜読みが遅くて1曲に数ヶ月かかってしまう現状を打破するポイントは、以下の2点に集約されます。
- 今の実力より「ちょっと簡単」な短い曲を、大量にこなして成功体験を作る。
- 片手練習に固執せず、ゆっくりでも「いきなり両手」で弾く習慣をつける。
ピアノの上達は、一歩一歩の積み重ねです。
難曲に挑んで苦労する時期があっても良いですが、並行して「サクサク読める曲」を何曲も通すことで、あなたの譜読みの基礎体力は確実に底上げされます。
数ヶ月後、気づいた時には「あれ、このページもう読めちゃった」と驚く自分に出会えるはずです。
まずは今日、本棚に眠っている「少し簡単な曲集」を1ページ、両手でゆっくりさらってみることから始めてみませんか?
演奏会情報・無料個別相談はLINE公式アカウントから
演奏会への出演情報のご案内、ピアノや練習に関する個別のご相談はLINE公式アカウントでお知らせしています。
ご相談は1対1のやり取りとなり、他の方に内容がみられることはありません。
配信は必要なときのみ行っていますので、お気軽にご登録ください。

筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

