♯147 ピアノの練習時間が取れない社会人の葛藤。仕事と夢の両立を諦めたくないあなたへ


「本当はもっとピアノに向き合いたいのに、今日も時間が過ぎてしまった」

そんなもどかしさを抱えながら、静かに蓋の閉まったピアノを眺めて夜を終える。そんな日はありませんか?

仕事、家事、やらなければならない雑多なタスク。社会人として生きていると、自分の情熱を注ぎたい場所と、現実の生活との間に、埋めようのない深い溝を感じることがあります。

二十数年ピアノを弾き続けてきた私にとっても、今の生活の中で「練習時間を確保すること」は、技術的な課題以上に大きな壁となっています。

今日は、理想と現実の矛盾に悩みながらも、それでも上達を諦めたくないと願うすべての「大人ピアニスト」の方へ向けて、私の今の正直な想いを綴りたいと思います。

筆者プロフィール:
4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。

「がむしゃらに練習できたあの頃」への郷愁

ふとした瞬間に、高校や大学時代の自分を思い出すことがあります。

あの頃の私の世界は、ピアノを中心に回っていました。朝から晩まで、ただ純粋に音と向き合い、指が疲れるまで鍵盤を叩き続けることができました。

時間というリソースが無限にあるかのように錯覚し、
がむしゃらに音楽だけを追い求めていた日々。

今の私から見れば、それは信じられないほど贅沢で、宝石のような時間でした。

大人になった今、私たちの前には「生活」という重たい現実が立ちはだかっています。
仕事で神経をすり減らし、帰宅する頃には体力が底をついている。睡眠時間を削って練習しようと思っても、体が悲鳴を上げ、脳は休息を求めてしまう。

「時間の使い方が悪いのではないか」と自分を責めることもあります。
けれど、実際には「体力の限界」という抗えない壁があるのも事実です。

心はピアノを弾きたいと叫んでいるのに、体が動かない。この矛盾こそが、大人になってピアノを続けることの、一番の苦しさかもしれません。

「音楽」と「お金」という切実な矛盾

もう一つ、私たちが直面する大きな現実は、経済的な問題です。
ピアノという楽器は、残念ながらそれだけで十分なお金を稼ぐことが非常に難しい世界です。

音楽だけで食べていくことができれば、一日中練習に没頭できるでしょう。けれど、多くの人は生活を守るために、別の仕事を抱えています。

「仕事をしているから思うように練習ができない。
でも、仕事をしなければピアノを続けるための
環境(楽器やレッスン)を維持できない」

この皮肉なループの中に、私たちはいます。
練習だけに向き合いたいという純粋な願いと、社会人として自立していなければならないという責任感。
その狭間で、「私は一体、何のためにこんなに頑張っているのだろう」と、ふと立ち止まってしまう瞬間があるのです。

日にちはあっという間に過ぎ去り、カレンダーをめくるたびに「今月はこれしか弾けなかった」という焦燥感に駆られます。

かつての自分と今の自分を比べ、進歩の遅さに絶望しそうになることもあります。

それでも、上達を諦めない理由

しかし、これほどまでにもどかしく、矛盾だらけの毎日であっても、私はピアノの上達を諦めたいとは思いません

なぜなら、私には「大きな夢」があるからです。
いつか辿り着きたい場所、奏でたい音、表現したい世界。その目標がある限り、今の停滞は「終わり」ではなく、長い旅の途中の「足踏み」に過ぎないのだと信じています。

たとえ一日に15分しか触れなくても、たとえ疲れていて数回弾くだけで終わってしまったとしても、その「一歩」を止めてしまわないこと

それこそが、今の私にできる最大の抵抗であり、未来への投資なのだと思うのです。

学生時代のような「量の練習」はできなくても、大人になった今だからこそできる「質の練習」や「深い理解」があるはずです。

人生の苦労やもどかしさを知った今の私にしか出せない音が、きっとある。そう自分に言い聞かせています。

「応援したい人」であり続けるために

私のブログのテーマの一つとして、恩師から言ってもらった「応援したい人になりなさい」という言葉があります。
この言葉は、何も「成功してキラキラしている人になりなさい」という意味ではありません。

むしろ、理想と現実のギャップに悩み、もがきながらも、それでも前を向こうとする「ひたむきな姿」こそが、人の心を打ち、応援を呼ぶのだと私は考えています。

睡眠を優先した自分を許し、疲れを癒やした後に、また新鮮な気持ちでピアノの前に座る。そんな風に、自分自身と上手に付き合いながら歩んでいくこと。それもまた、大人の「上達」の形なのではないでしょうか。

少しずつ、なりたい自分へ

私たちは、魔法使いではありません。一晩で全てのタスクを片付け、完璧な練習時間を捻出することはできないかもしれません。

けれど、自分のなりたい姿を信じる力だけは、誰にも奪われません。

「今は難しいけれど、いつか必ずピアノと
どっぷり向き合える時間を手に入れる」

「少しずつでも、自分の理想の音に近づいていく」

その願いを胸に灯し続けていれば、日々の忙しさに飲み込まれて自分を見失うことはありません。

もし、あなたも今、私と同じようにもどかしさを感じているのなら。
どうか、自分を責めないでください。あなたは十分に頑張っています。

時間はかかるかもしれません。歩みは亀のように遅いかもしれません。
それでも、私たちは進んでいます。
いつか、今のこの「もどかしい日々」さえもが、深みのある音色の一部となって響く日が来ることを信じて。

今日も、明日も、私たちらしい歩幅で、ピアノと共に生きていきましょう。

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筆者プロフィール:

4歳からピアノを始める。音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続けている。


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