♯124 ピアノの暗譜が苦手な人へ!本番で飛ばないための「4つのステップ」とメンタル強化術


ピアノを弾く人にとって、大きな壁の一つが「暗譜(あんぷ)」です。

「練習では弾けているのに、本番になると頭が真っ白になる」
「指が勝手に動くのを待つだけで、次に何が来るか不安」といった悩みを抱えていませんか

実は、暗譜が苦手な原因の多くは、脳が曲を「理解」する前に、指が「慣れて」しまっていることにあります。

4歳からピアノを始めて音高・音大・音大の院に進み、大人子ども含め累積約50名以上にピアノを教え、現役で演奏活動を続ける筆者が実践している「指の動きに頼らない暗譜の4つのステップ」と、
意外と見落とされがちな「メンタルと演奏の関係」について詳しく解説します。

この記事を読めば、より深く、揺るぎない記憶とともに演奏を楽しむヒントが見つかるはずです。


ステップ1:ピアノに座らない「脳内シミュレーション」

暗譜を確実にするために最も効果的なのは、あえてピアノの前に座らないことです。

なぜピアノを離れるのか?

ピアノを弾きながらだと、指の筋肉が「次にどこへ行くか」を覚えてしまい、脳がサボってしまいます。
これを「運動性記憶」と呼びますが、緊張した場面ではこの記憶は非常にもろいものです。

具体的な方法

椅子に座って、あるいは寝る前に、目をつぶって頭の中に鍵盤を思い浮かべてください。
そして、実際に弾く時のように指を動かしてみます

  • 「ここはド・ミ・ソの和音だな」
  • 「ここで親指をくぐらせるな」
    という具合に、1音1音リアルに再現します

このとき、和音の構成音があいまいだったり、指番号に迷ったりする箇所が出てきたら、
そこがあなたの「暗譜の弱点」です。

曲が長い場合は少しずつで構いません
私は時間がかかっても、1曲まるまる頭の中で完結させるようにしています。これができれば、暗譜の8割は完成したと言っても過言ではありません。


ステップ2:楽譜を「徹底的に」再確認する

脳内シミュレーションで「あれ?」と思った箇所は、すぐに楽譜で確認します。

「なんとなく」をゼロにする

「なんとなくこの辺を弾いている」という状態を放置しないことが大切です。
楽譜をよく見ると、

・自分が思っていた音と違っていたり
・内声(中間の音)の動きを見落としていたり

こういったことに気づきます。

視覚情報の強化

楽譜のページ構成や、記号の意味、音の流れを視覚的に焼き付けます。
音を「音」として覚えるだけでなく、「楽譜という地図」を頭に入れる作業です。

脳内でのイメージと実際の楽譜を一致させることで、記憶の解像度が格段に上がります


ステップ3:メロディー以外の音を「声に出して歌う」

多くの人は主旋律(メロディー)は完璧に覚えています。
しかし、暗譜が落ちるのは決まって「左手」や「内声」です。

歌うことで「音」を自分のものにする

そこでおすすめなのが、メロディー以外の音を声に出して歌ってみることです。

  • 左手のベースラインだけを歌ってみる
  • 和音の下の音だけを追ってみる

「声に出して歌える」ということは、その音が脳内で明確に鳴っている証拠です。

単なる指のパターンではなく、音楽として多層的に曲を捉えることができるようになります。


ステップ4:パーツごとに取り出して弾く

曲を最初から最後まで通して弾くだけの練習は、実は暗譜には不向きです。
なぜなら、多くの場合「勢い」で弾けてしまっているからです。

どこからでもスタートできる強み

曲をいくつかの「パーツ(セクション)」に分け、どこからでも、どんなテンポでも弾き始められるように練習します。

  • 32小節目から、いきなり弾けるか?
  • 展開部の2小節目から、左手だけで弾けるか?

このように、勢いを遮断してパーツごとに取り出す練習は、脳に強い負荷をかけます
しかし、この負荷こそが「本番で安定して弾ける力」を育みます。

勢いに頼らず、自分の意志で音を選んでいる感覚を養いましょう。


【番外編】暗譜を支えるのは「日々のメンタル」

どんなに念入りに準備をしても、本番でメンタルが崩壊してしまえば、暗譜も崩れてしまう可能性があります。

演奏と心は、私たちが思う以上に密接につながっています

1. ポジティブな言葉とイメージを持つ

普段から「間違えたらどうしよう」という不安ではなく、「ここをこんな風に響かせたい」というポジティブなイメージを描く練習をしましょう。

日常的にポジティブな言葉を使っていると、脳はリラックスし、記憶を引き出しやすい状態になります。

2. 「今、ここ」に集中して生きる

未来の不安(「あそこの難所、弾けるかな?」)や過去のミス(「さっき間違えちゃった」)は一旦横に置いておきましょう。

今、鳴らしているその音だけに集中する習慣は、日々の生活から養われます。

3. 笑顔を心がける

意外かもしれませんが、笑顔でいることは脳の緊張を解き、パフォーマンスを向上させます

練習中も、たとえ上手くいかなくても少し口角を上げてみてください。日常の小さな心の持ちようが、ステージ上でのあなたの支えになります。


筆者の経験談:本番で「安定して弾く」ための私の習慣

頭の中で音をイメージして暗譜を確認する――。
この習慣は、中学生の頃から自然と行っていました

小学生の頃はまだ曲が短くシンプルだったため、練習量だけでなんとか覚えられていました。
しかし、曲が複雑になるにつれて、頭の中でのシミュレーションが不可欠になったのです。

また、高校時代からはメンタル面の強化にも取り組んできました
多感な時期ゆえに、少しの不安が演奏を左右することを痛感したからです。

ポジティブな言葉を口にし、意識的に笑顔を作る
こうした小さな積み重ねが、本番での「暗譜の不安」を解消してくれました。

普段の練習と同じように、本番でも「安定して弾ける」ことは私の強みだと思っています。

社会人になり、練習時間の確保が難しいという新たな壁にも直面していますが、
これからも試行錯誤を続けながら、より良い演奏を目指していきたいです。

まとめ:暗譜は「自分との対話」

暗譜が苦手な人へ贈る4つのステップをまとめます。

  1. ピアノを離れてイメージ練習をする(弱点を発見する)
  2. 楽譜を徹底的に再確認する(記憶を鮮明にする)
  3. メロディー以外の音を歌う(多層的に覚える)
  4. パーツごとに取り出して弾く(勢いに頼らない)

そして、日々のメンタルを整えること

暗譜は単なる暗記作業ではありません。曲を深く理解し、自分の心と向き合うプロセスです。
日常の小さな習慣から変えていくことで、あなたの演奏はより自由で、自信に満ちたものになるはずです。

今日からまずは5分、ピアノの前に座らずに、
頭の中で最初の1ページをめくってみることから始めてみませんか?


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA